呼吸器外科

1.研修・認定施設

  • 日本外科学会外科専門医制度修練施設
  • 呼吸器外科専門医合同委員会認定関連施設(愛媛大学医学部附属病院)
  • 日本胸部外科学会認定医認定制度関連施設
  • 日本がん治療認定医機構認定研修施設

2.スタッフ紹介

救命救急センター長兼診療部呼吸器外科科長 根津 賢司(ねづ けんじ)

資格・認定 日本外科学会外科専門医、指導医
呼吸器外科学会専門医
日本がん治療認定医
肺がんCT検診認定医
日本消化器外科学会認定医
日本DMAT隊員
JATECコース修了
主な専門領域 呼吸器外科、災害医療
ドクターから一言 「患者様から学び、患者様に還元する医療、研究、教育」を大切にしながら頑張りたいと思います。
21世紀の外科を一緒に支えてくれる、ハートのある若手外科医の集まるチームを今後も育成していくのが夢です。

医長  小倉 史也(おぐら ふみや)

資格・認定 日本外科学会 外科専門医
主な専門領域 呼吸器外科
主な専門領域 日本外科学会
日本胸部外科学会
日本呼吸器外科学会
日本肺癌学会
ドクターから一言 南予地域の外科診療に貢献できる様、努力して参ります。

3.診療の総括

呼吸器外科は2015年4月より新設され、外科、心臓血管外科のメンバーとともに全体で携わっています。2022年4月より待望の呼吸器内科の常勤医が愛媛大学医学部より3名来ていただき、呼吸器疾患全般とくに悪性疾患において連携しながら対応しています。

呼吸器外科の治療領域は原発性肺がん、転移性肺がん、胸腺腫などの縦隔腫瘍に加え、炎症性肺腫瘤(肺真菌症、結核腫など)、自然気胸、血胸、多汗症、重症筋無力症、外傷(肋骨骨折による外傷性気胸、血胸など)、膿胸など多岐にわたります。

当科では上記の領域の診断(各種画像検査、気管支鏡検査など)から治療(外科治療、化学療法など)、またその後の経過フォローや緩和ケアに至るまで対応しています。呼吸器内科の常勤が来ていただいた後も、今後は術前導入化学療法や術後補助化学療法のレジメンも増えてくることとなり、治療の流れについて、両科で相談、理解しながら進めていく方針です。

特に、現在肺癌は本邦においても増加の一途をたどっており、検診の普及により早期の肺癌が増えていますが、依然として進行肺癌も増えています。当院では、迅速かつ正確な判断に基づき、患者さま一人一人の病状を考慮しつつ、患者さま一人一人に対し最適かつ安全な治療方針を決定しています。またクリニカルパスという管理方式を徹底し、手術の安全性も含め、きわめて高いものになっています。特に原発性肺癌の分野は他がんと比較してもドライバー遺伝子の研究などが盛んであり、治療の流れも多種多様な治療方針が開発されてきており、複雑化しています。今後も呼吸器内科や連携病院とも相談しながら肺癌治療に臨んでいくつもりです。

2021年の呼吸器外科手術件数はコロナ禍で減少し53例、うち原発性肺癌30例、転移性肺癌5例、気胸8例、良性肺腫瘍2例、縦隔腫瘍3例、膿胸2例、外傷性血気胸1例、その他2例でありました。また年間手術中、胸腔鏡下手術が約9割を占めています。現在、標準的な肺癌手術では、安全性、根治性を確保しつつ胸腔鏡を併用したり、機能温存のための区域切除など、身体にかかる負担を少なくし、より早い術後回復を促し、手術後4日~10日程度で退院することが可能となってきています。

日本は世界一の長寿国です。肺癌患者さまも高齢化しています。その為に肺癌の治療に際して、高血圧、心臓病、糖尿病、その他の合併症をお持ちの方も数多く見られます。そのような方々に対しては、当院が総合病院であるという特性を生かし、他の専門科との連携と協力体制のもと、安全に手術が受けられる環境を整備しています。

今後とも日々診療や治療の技術を磨き、『患者さまから学び、患者さまに還元する医療』の理念にのっとり、 毎日の診療経験から学んだことを臨床や研究にフィードバックし、 地域医療に貢献したいと思っていますので、お気軽にご相談いただければと思います。

加えて、21世紀の外科を一緒に支えてくれる、夢の実現を分かち合えるハートのあるブラックジャックを目指す外科医も募っていますし、 若人の来てくれる魅力のある診療科を目指して日々精進していくつもりです。

4.診療実績

手術症例数 2018年 2019年 2020年 2021年
総症例数 62例
(鏡視下手術60例)
75例
(鏡視下手術72例)
76例
(鏡視下手術68例)
53例
(鏡視下手術47例)
原発性肺癌 41例(39例) 47例(45例) 38例(36例) 30例(29例)
肺葉切除 23例(21例) 29例(28例) 21例(21例) 27例(26例)
区域切除 3例(3例) 1例(1例) 2例(2例) 0例(0例)
部分切除 15例(15例) 17例(16例) 15例(13例) 3例(3例)
転移性肺癌 4例(4例) 9例(9例) 6例(6例) 5例(4例)
肺葉切除 2例(2例) 0例(0例) 1例(1例) 0例(0例)
区域切除 0例(0例) 1例(1例) 0例(0例) 1例(1例)
部分切除 2例(2例) 8例(8例) 5例(5例) 4例(3例)
縦隔腫瘍 2例(2例) 3例(3例) 8例(3例) 3例(0例)
気胸 12例(12例) 7例(7例) 15例(15例) 8例(8例)
良性肺腫瘍 2例(2例) 6例(5例) 4例(4例) 2例(2例)
膿胸 1例(1例) 3例(3例) 2例(2例) 2例(2例)
外傷性血気胸 - - 1例(0例) 1例(1例)
その他 - - 2例(2例) 2例(1例)
▼医療関係者向け情報▼

5.学術的業績

1)論文報告

林龍也、根津賢司、小倉史也、竹中僚一、宇都宮健、山本久斗、石田直樹、今井良典、中村太郎、梶原伸介:

気管支原発乳頭状唾液腺腺腫の1例.

肺癌 2021;61 (7):964-969.

2)学会発表

(総会)

第40回日本社会精神医学会(3月4-5日、東京→Web)

救急医療から始まる自殺予防 出会いが命をつなぐ

長岡大文、渡部三郎、根津賢司、毛利貴子、川中真紀、佐尾貴子、松下久美子

第38回日本呼吸器外科学会学術集会(5月20-21日、長崎・Web)

自然気胸を契機に発見された先天性心膜欠損症の1例

根津賢司、小倉史也、林龍也、竹中僚一、山本久斗、宇都宮健、石田直樹、今井良典、中村太郎、岡田憲三、坂尾寿彦、梶原伸介

第83回日本臨床外科学会総会(11月18-20日、東京・Web)

  1. 化生性胸腺腫の1手術例
    根津賢司、林龍也、竹本大二郎、竹中僚一、曽我部恭成、山本久斗、石田直樹、今井良典、中村太郎、 岡田憲三、坂尾寿彦、梶原伸介、松影昭一
  2. 胃石による食道穿孔にて発症した難治性膿胸の1経験例
    林龍也、根津賢司、小倉史也、竹中僚一、山本久斗、宇都宮健、石田直樹、今井良典、中村太郎、岡田憲三、坂尾寿彦、梶原伸介

第49回日本救急医学会総会・学術集会(11月21-23日、東京)

杭による穿通性肺刺創に対し肺葉切除、肋骨外固定、人工呼吸下内固定にて救命し得た1例

根津賢司、竹中僚一、林龍也、竹本大二郎、曽我部恭成、山本久斗、石田直樹、今井良典、中村太郎、岡田憲三、梶原伸介

3)座長

第83回日本臨床外科学会総会(11月18-20日、東京・Web)

根津賢司:一般口演 肺悪性疾患② O-68:1-7

4)講演・講義他

中外製薬社内勉強会(5月31日、Web)

根津賢司:「薬剤性肺障害について」