血液疾患領域での悪性腫瘍性疾患

悪性リンパ腫とは

血液の細胞のうちリンパ球に由来する癌です。血液の癌ですが、いわゆる癌と違い抗癌剤が良く効くことが知られています。非ホジキンリンパ腫(B細胞リンパ腫、T/NK細胞リンパ腫)とホジキンリンパ腫に大別されますが、本邦では9割が非ホジキンリンパ腫です。また非ホジキンリンパ腫の中でもB細胞リンパ腫が最も多く、本稿では主にB細胞リンパ腫について解説します。

治療法

悪性リンパ腫はリンパの流れに沿って全身に広がっている可能性があるので、手術のみで治癒することは極めて稀です。目に見えないわずかに残っているリンパ腫細胞が再発の原因になるため治療が必要です。

治療の中心は化学療法(抗がん剤)ですが、病気の広がりや進行の早さによっては放射線治療を組み合わせる場合もあります。B細胞リンパ腫の場合、抗がん剤(アドリアシン、オンコビン、およびエンドキサンは注射、プレドニンは内服)に抗CD20抗体(Bリンパ球に発現している抗原)のリツキサンという薬を併用します。一方、進行が非常にゆっくり進行するタイプのリンパ腫の場合、無症状で何年も経過することがあります。治療を急いで行うメリットが無いと判断された場合は、無治療で注意深く経過観察される場合があります。

なお、T細胞リンパ腫は前述の抗がん剤治療抗がん剤(アドリアシン、オンコビン、およびエンドキサンは注射、プレドニンは内服)が治療の中心となります。

副作用

リツキサンの主な副作用としては、投与初期におこるアレルギー症状と、また腫瘍細胞が壊されることにより腎障害をおこす腫瘍崩壊症候群がありますが、抗アレルギー薬投与および補液などにより予防しております。その他の副作用として血球減少、心障害、腎障害などがありますが、比較的稀です。

抗がん剤の副作用としては悪心、嘔吐、脱毛、造血障害、粘膜障害、心臓機能障害、手足のしびれ、便秘等があります。悪心、嘔吐は制吐剤を投与することにより軽減できます。造血障害は一時的なもので2~3週間で回復しますが、遷延した場合には重症感染症を合併したり輸血が必要になることもあります。