肝細胞がんの外科的治療

肝細胞がんの外科的治療には肝切除と肝移植があります。

肝切除は肝細胞がんを周囲の肝臓の一部を含めて切り取る方法で、もっとも確実な治療法といわれています。ただし肝切除を行うためには大きな腹部のきずが必要で、身体にも肝臓にももっとも侵襲が大きい(もっともこたえる)治療法です。

侵襲を小さくするために腹腔鏡を用いて肝切除を行う方法がありますが、がんの場所や大きさなどにより適応は一部の患者様に限られます。

このため比較的肝臓の働きのいい患者様が対象になります。肝がん診療ガイドラインでは比較的肝機能のいい患者様で、がんの数が3個以下となっています。がんの数が1個だけなら10cm以上の大きさのがんでも比較的良好な治療効果があります。当院では大きながんに対しても門脈塞栓術という方法を用いて残る肝臓を大きくして積極的に手術しています。肝切除の入院期間は合併症(治療における副作用:胆汁漏、感染、肝不全など)がなければ手術後約10日から14日程度です。

肝細胞がんに対して肝移植が保健適応となっています。肝硬変などで肝臓の働きが悪く、他の治療法が困難な場合が適応となります。日本では近親者からの生体移植が中心です。生体肝移植は当院では行われていませんが、当院の関連病院である愛媛大学病院で行われており、良好な成績が得られています。治療法の一つとして適応のある患者様は紹介させて頂きます。