臨床検査科、病理診断科

1.研修・認定施設

  • 日本病理学会研修登録施設
  • 日本臨床細胞学会認定施設
  • 日本臨床細胞学会教育研修認定施設

2.スタッフ紹介

臨床検査科

科長 中西 護(なかにし まもる)

資格・認定 日本病理学会病理専門医・指導医
死体解剖資格認定
主な専門領域 人体病理
ドクターから一言 臨床の先生と違った視点より、疾患単位の確認、病態の検討をしています。

病理診断科

主任科長兼病理診断科科長 松影 昭一(まつかげ しょういち)

資格・認定 日本病理学会病理専門医・指導医
日本臨床細胞学会細胞診専門医・指導医
日本臨床検査医学会臨床検査管理医
死体解剖資格認定
主な専門領域 診断病理
ドクターから一言

3.業務の総括

2021年も引き続き「仕事の質の向上」「質の高い医療の提供」「防災対策への取り組み」を部門目標としました。

  • 「仕事の質の向上」「質の高い医療の提供」では、今年度も患者誤認、検体取り違いをしない。迅速かつ正確な検査結果報告を目指して業務を遂行する。施設基準に対応した認定資格を取得する。等の具現化に取り組みました。
    また、平成29年の医療法改正に伴い、医療機関が自ら実施する検体検査について精度の確保が求められ、提供する検査結果についても更に正確性や精度の高さが要求されています。当科でも日々の標準作業書の作成と活用、内部・外部精度管理の実施と評価を反復することにより、質の高い検査結果を提供しその精度の担保に取り組みました。
  • 「防災対策への取り組み」では、継続目標である24時間体制で対応している緊急検査の整備、他部門との連携強化、さらに発災時災害診療に早急に対応するための臨床検査機器チエックシート、行動アクションカードの作成およびメンテナンスを担当部署単位で実施、それを統括し、災害時の各自の行動の可視化を行いました。
  • 2021年は新型コロナウイルス感染症の影響下、臨床検査の重要性に着目された1年でした。24時間体制での迅速かつ高精度検査法の導入が要求され、当科でもその実現に精力的に取り組んだ1年でもありました。

今後も、診療科のニーズに柔軟に対応し、上記目標を更に深めていけるよう継続した取り組みを行います。

4.臨床検査科

臨床検査について

臨床検査は、血液、尿などを調べる検体検査と、身体を直接検査する生理検査の2つに大きく分けられます。どちらも、最新の自動分析器や、画像診断装置等で測定し、正確で精度の高い検査結果を迅速に医師に報告しています。

病院の中で臨床検査技師は、各専門分野を担当し、医師、看護師など、いろいろな職種の人達と連携をとりながら、チーム医療の一端を担っています。また、夜間、休日においても必要な緊急検査等を24時間体制で対応しています。

臨床検査は現代の医療にとって、無くてはならないものになっています。

検査受付

検査受付の写真

本館2階15番が検査受付です。採血、採尿、生理検査室への案内などを行っています。ここで医師によって指示された患者基本スケジュール票(受付票)の受付をすると、検査に必要な採血整理券(番号)、尿コップを作成します。また同時に採血室で採血管が準備されます。その他、持参検体(便潜血、蓄尿、喀痰など)の受け取りなども行っています。

採血室

採血室の写真

臨床検査技師が中心となり、看護師と共に外来患者様の採血業務を行っています。毎日、300人ほどの採血を行っています。採血後は直ちに検査を行い、医師はコンピュータでデータを確認できます。

また、採血管準備システムにより、翌日の病棟患者様の採血管を準備し、配布しています。

生化学・免疫血清検査

生化学検査は、血液、尿等から健康状態や病気の程度を調べる検査です。

肝機能検査(AST、ALTなど)、腎機能検査(BUN、クレアチニンなど)、脂質・糖代謝検査(コレステロール、血糖など)など、多数の検査項目を実施しています。また、各種血中薬物の濃度測定も行っています。

免疫血清検査は、感染症検査(肝炎ウイルス、梅毒、HIVなど)、各種腫瘍マーカー(CEA、AFPなど)、ホルモン等の検査を実施しています。

生化学・免疫血清検査の写真1
生化学・免疫血清検査の写真2

血液検査

貧血、感染、白血病を調べるために、自動血球分析装置を用いて、血液中の赤血球、白血球、血小板などを測定します。また、顕微鏡を用いて、染色した白血球の種類を分類したり、骨髄の血液細胞を調べます。

血液の固まりぐあいを診る凝固検査は、出血、止血などの治療に役立っています。

血液検査の写真1
血液検査の写真2

一般検査

一般検査の写真

腎臓・尿路系疾患の異常を調べるため、尿検査(糖・蛋白・赤血球の有無など)を行います。消化管出血の有無を調べるため、便潜血検査をしています。

また、回虫やぎょう虫など顕微鏡で観察する寄生虫検査も行っています。

細菌検査

細菌検査の写真

感染症は、様々な微生物に起因して発症します。尿、喀痰、便、膿などの検体から起炎菌を同定し、その菌に効く薬を調べる薬剤耐性検査を行っています。ウイルス抗原検出・毒素検出等、病原体の存在を短時間で検査したり、結核の検査では遺伝子(PCR)検査も行っています。院内感染対策(ICT)のメンバーとして日々活動しています。

輸血・免疫学的検査

輸血とは貧血などの病気や出血により不足した成分を補充する重要な補助療法です。

輸血前には、血液型(ABO、Rh)、不規則抗体、交差適合試験などの検査を行います。

輸血ミスを防ぐため、コンピュータ管理や最新式の機器を導入し、血液製剤の発注・保管・輸血検査・出庫・副作用管理まで、すべてを一元管理しています。

また、本人から採取した自己血も輸血するまで安全に保管管理しています。

輸血・免疫学的検査の写真1
輸血・免疫学的検査の写真2

生理機能検査

不整脈、狭心症、心筋梗塞などを調べる心電図検査、呼吸器の働きを調べる肺機能検査、てんかん波の有無や頭蓋内病変による変化を捉える脳波検査、他にも、眼底カメラや、血管の状態を見るABI検査やSPP検査、睡眠時無呼吸を調べるPSG検査などにも対応しています。

また、心臓や腹部を始め、動脈硬化の程度をよく反映する頚動脈エコー、下肢静脈エコー等、超音波学会認定の技師が中心になり実施しています。心臓カテーテル検査・治療には24時間対応できるように待機しています。

生理機能検査の写真1
生理機能検査の写真2

緊急検査

病理・細胞診検査の写真

宿直1名、日直2名の技師が対応、毎日24時間体制で検査を行っています。

検査項目は、血液ガス分析、生化学検査(24項目)、血液検査(血算、凝固5項目)、尿検査(定性、目視)、妊娠反応、輸血検査(血液型、不規則抗体、交差適合試験、製剤管理等)、心電図、細菌検査(血液培養、インフルエンザ、A群β-溶レン菌)、髄液検査等、迅速に対応しています。

臨床検査科 職員構成と配置

職員構成

医師 2名(正規)
臨床検査技師 34名(正規25、会計年度任用7、パート2)
看護師 5名(会計年度任用1、パート4)
技術・事務員 2名(会計年度任用1、パート1)

部門別人員配置

検体検査系 19名
血液・生化学・一般 8名
輸血・移植 2名
細菌 4名
中央採血 5名(看護師)(検査技師も採血業務にあたる)
生体検査系 13名
生理検査 12名
耳鼻咽喉科 1名
受付 2名
病理診断科 5名
育児休業 2名

臨床検査科 有資格者

日本超音波医学会・超音波検査士 3名
日本不整脈心電学会・心電図検定1級 1名
日本消化器内視鏡学会・消化器内視鏡技師 1名
日本糖尿病療養指導士 4名
愛媛県糖尿病療養指導士 2名
緊急臨床検査士 4名
二級臨床検査士(血液) 4名
聴力測定技術者 2名
認定認知症領域検査技師 1名
日本認知症予防学会・認知症予防専門士指導者 1名
日本DMAT隊員 1名

臨床検査科 検査件数

検体検査 2018年 2019年 2020年 2021年
一般検査(尿・便) 437,413 445,275 406,527 366,967
血液検査 868,600 953,504 895,541 808,992
生化学検査 1,965,315 2,047,827 1,963,251 1,871,045
外注 89,965 82,951 75,735 68,835
輸血免疫検査 65,997 70,538 64,680 48,027
細菌検査 32,091 32,382 27,904 13,058
生体検査 2018年 2019年 2020年 2021年
生理検査(ECGなど) 39,340 41,516 43,487 34,388
心エコー 6,861 6,778 5,906 5,844
腹部エコー 5,155 5,138 4,008 5,803

5.病理診断科

病理・細胞診検査

病理・細胞診検査の写真

手術で摘出した胃や大腸のような臓器、胃カメラで採った組織や婦人科検診で採った細胞を調べ、悪性かどうか判定します。手術中に得られた材料から凍結標本を作成し、良性・悪性の判断、転移の有無を迅速に判断し、手術での切除範囲の決定のための情報を提供する迅速病理組織検査も行っています。

また、病死の診断、病気の進行程度、治療効果の判定などのため、病理解剖も行います。

病理診断科 職員構成

医師 1名
臨床検査技師 5名(正規3、会計年度任用1、パート1)

病理診断科 有資格者

国際細胞検査士 2名
日本臨床細胞学会・細胞検査士 2名
認定病理検査技師 1名
特定化学物質・四アルキル鉛作業主任者 2名
有機溶剤作業主任者 3名
毒物劇物取扱責任者 3名

病理診断科 検査件数

病理検査 2018年 2019年 2020年 2021年
病理組織診 4,705 4,946 4,442 4,344
病理細胞診 5,274 5,153 4,271 4,513
病理解剖 1 6 4 3
▼医療関係者向け情報▼

6.有資格者氏名

臨床検査科

日本超音波医学会・超音波検査士 上﨑直人、久保田典夫、笠村知春
日本不整脈心電学会・心電図検定1級 益田るみ
日本消化器内視鏡学会・消化器内視鏡技師 上﨑直人
日本糖尿病療養指導士 西本幸恵、薬師寺孝徳、二宮奏恵、宮本莉奈
愛媛県糖尿病療養指導士 西本幸恵、薬師寺孝徳
緊急臨床検査士 薬師寺孝徳、吉良美玖、二宮奏恵、益田るみ
二級臨床検査士(血液) 大下時廣、西本さやか、吉良美玖、益田るみ
聴力測定技術者 大森佐央里、松尾典子
認定認知症領域検査技師 高村好実
日本認知症予防学会・認知症予防専門士指導者 高村好実
日本DMAT隊員 久保田典夫

病理診断科

国際細胞検査士 中川健司、菅 恭弘
日本臨床細胞学会・細胞検査士 中川健司、菅 恭弘
認定病理検査技師 菅 恭弘
特定化学物質・四アルキル鉛作業主任者 中川健司、菅 恭弘
有機溶剤作業主任者 大森公揮、菅 恭弘、兵頭史哉
毒物劇物取扱責任者 菅 恭弘、大森公揮、兵頭史哉

7.学術的業績

1)受賞業績

市立宇和島病院医学論文賞(2021年2月25日授賞)
大下時廣:コメディカル部門 金賞

再発時に著明な骨髄浸潤を認めた血管内大細胞型B細胞性リンパ腫の1症例
大下時廣、吉良美玖、中平さやか、平野祐子、西本幸恵、鹿田久治、松影昭一
愛媛県臨床検査技師会誌vol.39 2020;65:61-66.

2)学会発表

(地方会)

愛媛県病理研究会(1月23日、愛媛大学担当Web開催)

  1. 肺腺癌を合併した副腎出血(血腫)の一例
    中西護
  2. 尿路結石の術前検査で偶然発見されたAnastmosing hemangiomaの一例
    松影昭一

第29回愛媛県臨床細胞学会学術集会(1月31日、松山)

経食道的超音波内視鏡下穿刺吸引術にて確定診断した肺腺癌の一例

菅恭弘、薬師寺孝徳、魚住重吏子、藥師神由子、中川健司、中西護、松影昭一

愛媛県病理研究会(5月22日、松山赤十字病院担当Web開催)

  1. 急性虫垂炎で発症したgoblet cell adenocarcinomaの一例
    中西護
  2. 右肺下葉のBronchiolar adenoma/ciliated muconodular papillary tumorの一例
    松影昭一

2021年度愛媛県臨床検査学会(6月13日、松前)

全自動血液凝固測定装置CN-3000の基礎的検討

中平さやか、吉良美玖、平野祐子、大下時廣、西本幸恵

3)講演・講義他

鳥取県臨床検査技師会 2020年度第3回臨床検査総合部門研修会(1月26日、Web)

高村好実:ロジカルコミュニケーション

愛媛県立医療技術大学 医学検査セミナー(1月30日、Web)

高村好実:AI時代に活躍する人材~臨床検査技師として描くキャリアデザイン~