南予医学雑誌20巻
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-61-南予医誌 Vol.20 No. 1 2020(表1)亜鉛の食事摂取基準(mg/日)乏による白血球減少、貧血の診断となる。この際ポラプレジンクの中止に加え、施設職員へ銅を多く含む食事の検討が指導されている。その後8月中旬、特別養護老人ホームBから当院食養科へ食事内容の相談があり、摂取目安量以上の過剰摂取を指摘し、栄養機能食品の変更を提案した。 その後8月29日血液内科受診時には、痰量増加、微熱持続により絶食の状態となっていた。唾液でむせ込むこともあり、この時点で経口摂取による栄養状態改善は困難であると判断され、9月5日入院し胃瘻造設の運びとなった。 X年8月1日、8月29日に輸血が施行されている。【入院後の経過】 X年9月5日胃瘻造設目的で入院し、NST介入。必要栄養量を1200kcal(AF1.1、SF1.0、BEE963.9kcal)と算出する。第1病日胃瘻造設。経腸栄養開始後も明らかな発熱は見られず、下痢、嘔吐など消化管症状もなく経過した。痰量は胃瘻造設後より著明に減少している。必要栄養量まで順調に経腸栄養を増量出来たため、第9病日には同ホームBへ退院となる。退院時の栄養内容は1200kcal、たんぱく質48g、銅0.96mg、亜鉛9.6mg(銅亜鉛比1対10)である。 退院後X年11月8日受診時の検査(図1)では、亜鉛-S56µg/dL、銅56µg/dLと改善を認めている。貧血、白血球減少症においてもHb12.6g/dL、WBC4.6×103/µと改善を認めた。胃瘻からの経腸栄養法で必要栄養量が充足したことによりAlb3.9g/dLと栄養状態の改善も認められた。(図2,3)

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