南予医学雑誌20巻
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-59-南予医誌 Vol.20 No. 1 2020 銅欠乏症の原因には、摂取不足、吸収不良、必要量増加、損失増加、銅非添加の高カロリー輸液施行、低銅濃度のミルクや経腸栄養などがある。また多量の亜鉛の継続的摂取においても、吸収過程で銅と亜鉛は拮抗するため、腸管での吸収を阻害し銅欠乏を起こす。主な欠乏症は、鉄投与に反応しない貧血、白血球減少、好中球減少、骨異常、成長障害、心血管系や神経系の異常などがある。1,2,3) 症例は77歳女性。入院前の施設において、ポラプレジンク内服に加え、亜鉛を強化した栄養機能食品【以下、栄養機能食品(亜鉛)】が食事の代替とされていた。その結果、亜鉛の過剰及び極度の銅不足状態を招き、その状態が1年継続されたことによる銅欠乏性貧血を発症した。入院後胃瘻造設が行われ、必要栄養量・ビタミン・ミネラルなどのバランスの整った内容で経腸栄養管理が行われた結果、退院2ヵ月後、銅欠乏症、白血球減少症、貧血、栄養状態が改善された。受稿日 令和1年11月5日受理日 令和1年11月11日連絡先 〒798-8510 愛媛県宇和島市御殿町1-1市立宇和島病院 食養科 宇都宮佳那1)市立宇和島病院 食養科2)市立宇和島病院 薬局3)市立宇和島病院 看護部4)市立宇和島病院 臨床検査科要    旨Key Words:銅欠乏症、亜鉛過剰摂取、ポラプレジンク、栄養機能食品(亜鉛)宇都宮 佳 那1)、山 崎   幸1)、清 家   仁2) 、兵 頭 すみえ3)、西 本 幸 恵4)、鹿 田 久 治5)、西 川 雄 哉6) 、岡 田 憲 三7)亜鉛過剰摂取および栄養機能食品のみで栄養管理されたことで銅欠乏性貧血を発症した1例症 例 報 告5)市立宇和島病院 血液内科6)市立宇和島病院 歯科口腔外科7)市立宇和島病院 外科

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