南予医学雑誌20巻
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 2014年7月11日19時時点に当院に入院していた患者は合計167人で、診療科別には内科56人(33.5%)、整形外科45人(26.9%)、外科32人(19.2%)、脳神経外科20人(12.0%)、泌尿器科9人(5.4%)、小児科4人(2.4%)、麻酔科1人(0.6%)を占めていた。 患者167人のうち106人(63.5%)から、結   果(表1)患者・家族への説明内容  (1)避難方法の比較-3-南予医誌 Vol.20 No. 1 2020直接意見を聴取した。残る60人(35.9%)については家族に面談または電話で意見を聞いた。1名(0.6%)からはどちらからも回答を得ることができなかった。これらの聴取はすべて筆頭著者が担当し、7月11日から17日の間に実施した。 入院患者167人のうち独歩は57人(34.1%)、護送は70人(41.9%)、担送は40人(24.0%)を占めた。独歩患者において自力避難を選んだ人は45.6%を占め、そのうちの87.7%が自らその判断をした。護送患者は38.6%が自力避難を選び、その55.7%が自ら判断した。担送患者で自力避難を選んだ人は15.0%にとどまり、自ら判断した人は42.5%と最も低率であった(表2)。 2013年12月における伊方原発の30km圏内医療機関の入院患者数は独歩720人、護送565人、および担送514人となっていた6)。これらの患者が今回の当院入院患者と同じ比率で避難方法を選ぶとすると、病院避難を選ぶ患者は独歩392人、護送339人、担送437人、合計1168人と計算された。病院避難を選んだ患者(1100人超)は避難先でも引き続いて入院することを希望すると推定された。必要となる。「担送」は歩くことができない者で、移動にストレッチャーなどが必要である。そして、独歩および護送では大型バスなどによる座位での避難となり、担送患者では救急車や自衛隊車輌、福祉タクシーなどによる、臥位での避難になると想定される。 そして、2013年12月にわれわれが調査した、伊方原発の30km圏内医療機関の入院患者数6)に、今回の市立八幡浜総合病院での調査結果をあてはめ、伊方原発30km圏内からの入院患者避難に必要となる搬送手段などについて試算した。

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