南予医学雑誌20巻
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 患者は21歳男性で、主訴は頸部リンパ節腫脹であった。頸部リンパ節腫脹と咽頭に粘膜病変を認めた。各種検査を施行したが診断には至らず、頸部リンパ節生検を予定し術前検査を施行したところ、梅毒血清反応で陽性反応を示し梅毒第2期と診断された。アモキシシリンの投与を行い咽頭粘膜疹、頸部リンパ節腫脹は軽快した。 梅毒は一般細菌の分離培養方法では検出できず、梅毒トレポネーマを直接確認することで診断される。感染から数週間経過していれば梅毒血清反応が陽性を示すが、いずれの診断方法も梅毒を想定しておく必要がある。また、本症例では咽頭粘膜病変に頸部リンパ節腫脹が伴い、悪性腫瘍との鑑別も必要だった。受稿日 令和1年3月20日受理日 令和1年4月10日連絡先 〒798-8510 愛媛県宇和島市御殿町1-1市立宇和島病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 吉田 正市立宇和島病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科要    旨Key Words:咽頭梅毒、梅毒血清反応、リンパ節炎林   祐 志,岩 田 真 治,青 石 邦 秀,吉 田   正頚部リンパ節腫脹を主訴に受診した咽頭梅毒の1例症 例 報 告-38-南予医誌 Vol.20 No. 1 2020

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