南予医学雑誌20巻
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-35-南予医誌 Vol.20 No. 1 2020 近年、使用可能となったSpyGlass DSは細径化されており、通常のESTのみで挿入が可能である。また簡便性、操作性に優れ、特徴として4方向のアングルを有し、送水・吸引が容易であり、胆管の挿入性・選択性に適した先端形状である。電気水圧衝撃波であるEHLを併用することで直接結石を視認して砕石することが出来る8-11)。そのため大きな結石や積み上げ結石においても確実な砕石が可能である。当施設で行った症例は巨大結石や積み上げ結石で、従来の透視下のERCPでは治療が困難な症例であり、定期的な胆管チューブ交換がなされていた。特に症例1では、ERBDチューブの周囲に結石が充満しており、透視下のERCPでは結石のみを把持することは困難であり、結石除去は不可能であった。1例を除いて完全結石除去が可能であり、有効な治療法であると考えられる。偶発症は4例に認めたが、いずれも軽症であり保存的に軽快した。 SpyGlass DS下の総胆管結石の治療において、ESTは中切開以上行い胆道内圧を上げ過ぎないことが重要である。EHLは全ての砕石にはこだわらず、大きなものができれば良いと考えている。その後は通常ERCP下に機械的結石破砕術で追加砕石を行っている。  問題点としては、手技がやや煩雑であること、コストが高い点が挙げられる。そのため当院での適応は、通常のERCPで診断や治療が困難な症例としている。 SpyGlass DS下EHLは総胆管結石治療において有用であり、安全性も高いと思われた。通常のERCP治療で困難な症例の治療の選択肢になり得ると考えられる。1)Kamiyama R, Ogura T, Okuda A, Miyano A, Nishioka N, et al. Electrohydraulic Lithotripsy for Difficult Bile Duct Stones under Endoscopic Retrograde Cholangiopancreatography and Peroral Transluminal Cholangioscopy Guidance. Gut Liver. 2018;12:457-462.2)Lenze F, Bokemeyer A, Gross D, Nowacki T, Bettenworth D, et al. Safety, diagnostic accuracy and therapeutic efficacy of digital single-operator cholangioscopy. United European Gastroenterol J. 2018;6:902-909. 3)Imanishi M, Ogura T, Kurisu Y, Onda S, Takagi W, et al. A feasibility study of digital single -operator cholangioscopy for diagnostic and therapeuticprocedure (with videos). Medicine (Baltimore). 2017;96:e6619.4)Ogura T, Imanishi M, Kurisu Y, Onda S, Sano T, et al. Prospective evaluation of digital single -operator cholangioscope for diagnostic and therapeutic procedures (with videos).Dig Endosc. 2017:782-789.5)Ersoz G,Tekesin O,OzutemizAO,Gunsar F. Biliary sphincterotomy plus dilation with a large balloon for bile duct stones that are difficult to extract.Gastrointest Endosc. 2003;57:156-9.参 考 文 献

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