南予医学雑誌20巻
36/88

-34-南予医誌 Vol.20 No. 1 2020【症例4】67歳女性。 5mm大の結石を17個認め、積み上げ結石となっていた(図3)。胆管の拡張は乏しく、バスケットを用いた結石の把持、砕石は困難であった。SpyGlass DS 下EHLを用いたところ結石の完全除去が可能であった。胆嚢結石については後日、腹腔鏡下胆嚢摘出術を行なった。 一般に総胆管結石の治療は透視下に内視鏡を用いて行われる。巨大結石や積み上げ結石ではその結石の把持が難しく、内視鏡治療困難となる症例が存在する。一般的にそれらの治療は内視鏡的乳頭括約筋切開術(endoscopic sphincterotomy: 考   察EST) あるいは内視鏡的乳頭バルーン拡張術 (endoscopic papillary balloon dilation: EPBD) を行なった上で機械的結石破砕術 (mechanical lithotripsy:ML)が選択される。近年、それらに対する治療法として、ラージバルーン法(endoscopic papillary large balloon dilation:EPLBD) が行われている5-6)。通常よりも大口径のバルーンを用いて主乳頭から下部胆管を拡張することで、結石の排石が容易となる。しかしながら、胆管の穿孔や術後膵炎、出血などの合併症の問題があり適応症例は限られる。外科的治療も考慮されるが、特に高齢者や合併症の多い症例では胆管チューブを留置し定期的に交換している症例が散見される。しかしこの方法もチューブ閉塞や逆行性胆管炎、入院回数の問題などから、原則として総胆管結石の完全な除去が望まれる7)。(表1)

元のページ  ../index.html#36

このブックを見る