南予医学雑誌20巻
33/88

-31-南予医誌 Vol.20 No. 1 2020 症例は9例で、年齢は67-92歳、男性2人、女性7人。積み上げ結石や巨大結石で全ての症例でEHLを用いて結石除去を行った。結石の大きさは中央値20(5-55)mm, 個数中央値4(1-17)個、所要時間は中央値90(49-122)分、衝撃波は中央値1000(324-2700)発であった。1例を除いて完全な採石除去が可能であった。完全採石までのERCPの回数はSpyGlass DSを用いて行ったERCP後、5症例でERCPを1回追加していたが、3症例は一度に完全採石が可能であった。偶発症は2例に膵酵素上昇、2例に軽度胆管炎を認めたが、いずれも保存的に軽快した。結   果経口胆道鏡(peroral cholangioscope: POCS)は十二指腸鏡(親スコープ)を介して経乳頭的に細径の胆道鏡(子スコープ)を直接胆管内に挿入し胆管内腔を観察する検査法である。従来のPOCSは、その耐久性や操作性、煩雑性などの問題から広く普及しているとは言い難い。2015年ボストン・サイエンティフィック ジャパン社からデジタル型経口胆道鏡 SpyGlass DSが販売され、使用可能となった。SpyGlass DSは、従来使用されていた電子経口胆道鏡と比較して細径化、画像も鮮明になり、また簡便性、操作性に優れている。総胆管結石に対しては電気水圧衝撃波(EHL:Electrohydraulic Lithotripsy)を用いることで直接結石を視認して砕石することが可能となった1)。当院では2018年6月から導入しているが、全国的にも導入されている施設は少なく、その有用性や安全性ついての報告は少ない2-4)。 2018年6月から2019年9月まで通常の内視鏡的逆行性胆管膵管造影(endoscopic retrograde cholangiopancreatography: ERCP)で治療が困難な症例で、内視鏡の操作性が良好、全身状態が良好な症例を適応症例とした。市立宇和島病院臨床研究審査委員会 (承認番号 193-174)オリンパス社;TJF260V。ボストン・サイエンティフィック ジャパン社; SpyGlass は じ め に対   象使 用 機 器【症例1】81歳男性。 3年前に留置したERBDステントを核として総胆管結石を認めた。チューブ抜去を試みたが結石によって固定されており、抜去が困難であった(図1)。SpyGlass DSを用いて胆管を観察したところERBDチューブの周囲に結石が充満していた。結石を視認しEHLを用いて結石の砕石を行ない、ERBDチューブを抜去できた。追加ERCPを1回行なうことで結石の完全除去を行った。症 例 紹 介DS (2019年4月からはSpyGlass DS II)。ボストン・サイエンティフィックジャパン社;SpyBite。NORTECH社; Autolith Touch (電気水圧衝撃波装置)。NORTECH社; EHLプローベ (MICRO II Electrohydraulic Lithotripter Probe)。

元のページ  ../index.html#33

このブックを見る