南予医学雑誌20巻
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 グローブ圧迫療法は簡便な方法においても末梢神経障害の出現率低下や悪化防止に有効であることが示唆された。1)Eckhoff L, Knoop AS, Jensen MB, et al:Risk of docetaxel-induced peripheral neuropathy among 1,725 Danish patients with early stage breast cancer. Breast Cancer Res Treat. 2013;142(1):109-18.2)Hanoi A, Ishiguro H, Sozu T, et al: Effects of Cryotherapy on Objective and Subjective Symptoms of Paclitaxel-Induced Neuropathy: Prospective Self-Controlled Trial. J Natl Cancer Inst. 2018;110(2), 141-148,3)Tsuyuki S, Senda N, Kanng Y, et al:Evaluation of the effect of compression therapy using surgical gloves on nanoparticle albumin-bound paclitaxel-induced peripheral neuropathy:a phase II multicenter study by the Kamigata Breast Cancer Study Group. Cancer Res Treat. 2016;160(1):61-67.4)露木茂:末梢神経障害予防のための手術手袋による圧迫療法. Cancer Board Square. 2018;4(2), 92-97.5)Seventy M, Currie GL, Sena ES, et al: Incidence, prevalence, and predictors of chemotherapy-induced peripheral neuropathy:A systematic review and meta-analysis. Pain. 2014;155(12), 2461-70.6)がん化学療法に伴う末梢神経マネジメントの手引き 日本サポーティブケア学会編, 金原出版, 東京, 2017.結   語参 考 文 献ける末梢神経障害の発現率低下は、末梢の毛細血管への血流減少により手指端に届く薬剤量が抑制された事による効果と考えられている。露木らは実際にサーモグラフィー検査を行い、サージカルグローブの圧迫が指先の微小血流を減少させたことを示した4)。 露木らはサージカルグローブを2枚重ねて装着したが、当院ではコスト面や患者への負担を考慮し通常業務で使用しているニトリル手袋を使用しより簡便な圧迫とした。グローブ1枚のみでは着圧が十分でない可能性があるが、ニトリル手袋は摩擦や耐久性の面で2重での使用は困難であった。1重での簡便安価な方法ではあるが、サージカルグローブ同様有害事象による脱落例は認めず、末梢神経障害の防止に効果を認めた。また足にも同様の防止効果を認めた。 しかしながら、圧迫療法を行っても末梢神経障害を完全に予防することは不可能でありさらなる検討が必要である。今回の研究はサージカルグローブとの比較は行っておらず、単施設のhistorical control studyであり短期間での検討である。露木らは主要評価項目であるCIPNの発現率に加え、有害事象、2年間のCIPNの発現率も検討中であり結果が待たれる。ただし、パクリタキセルによる末梢神経障害に対する圧迫療法の効果は明らかであり対策として行うべきことと考えられる。-28-南予医誌 Vol.20 No. 1 2020

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