南予医学雑誌20巻
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(図4)VAPバンドル実施状況-22-南予医誌 Vol.20 No. 1 2020 バンドルの項目のうち頭部挙上については、[治療上の制限]や[循環動態の不安定]といった理由が大半を占めており、ICUであることを考慮すると実施率40%という結果はやむを得ない側面もある。また“30度以上、累計4時間/日以上”という要件を設けているが、20度までは実施していたり累計4時間には満たないが断続的に実施できている事もあり、可能な限りバンドルを遵守するよう試みられていることも分かった。一方「頭高位を人工呼吸器管理患者のルーチン体位とする必要はない」3) とも言われており、今後は症例に応じた柔軟なバンドルの適用やバンドル内容の改訂を検討することも必要と考える。 概日リズムの導入については、主に過鎮静による様々な弊害を防ぐ事が目的であり、RASSで2時間ごとに評価した上で包括的指示に基づいて看護師が鎮静薬の投与量を調整している。しかし、減量による不穏やカテーテル類の計画外抜去などへの懸念もあり、導入が容易でないのも現状である。現在ICUではCPOTによる疼痛評価の導入や自発覚醒トライアル(Spontaneous Awakening Trial:SAT)に取り組んでおり、これらによりスタッフの知識や技術、ならびにバンドル実施率の向上を目指す必要がある。1.頭部挙上や概日リズム導入を妨げていたのは、主に治療上の制限や不安定な循環動態といった回避することの難しい要因であった。2.頭部挙上よりも有益と考えられる体位があればそれを優先しており、実施率低下の要因となっていた。(開示すべき利益相反はありません)考   察結   論1)国立大学病院集中治療部協議会:人工呼吸器関連肺炎対策.ICU感染防止ガイドライン改訂第2版,2013:p45.2)日本環境感染学会JHAIS委員会:サーベイランス結果報告書.  http://www.kankyokansen.org/uploads/uploads/files/jsipc/jhais_device-CLABSI_CAUTI_VAP%202018.12.pdf,(参照2019年10月11日).3)志馬伸朗:頭高位は人工呼吸器管理患者のルーチン体位か?.INTENSIVIST,6巻2号,2014:pp204-207.参 考 文 献

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