南予医学雑誌19巻
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情家:なんよだより南予医誌 Vol.19 No. 1 2019-83-【活動内容に関して】◦  住民に対し,避難が強制的なものであることを伝え準備を促す。◦  避難経路上にロープを張り,避難時はロープを掴んで移動する。◦  混乱を避けるため,避難所までの移動は1世帯ごととする。【準備物】◦ ロープ,車 私は活動チームに参加することとなった。上位本部に活動開始の連絡を入れ現場へと出動した。事前に強制的な避難ということを伝えていたため,現場到着後直ちに活動を開始することができた。しかし避難に難色を示す方もおり,私たちは避難活動と平行して説得を続けた。ミーティングの甲斐もあり避難は問題無く進んだ。説得も時間はかかったものの,応じてもらうことができ,無事に対象住民全員の避難は完了した。 その後も活動は続き,午後8時頃,消防団は解散となった。皆全身ずぶ濡れで長靴の中にまで泥水がはいっていた。怪我をしている者もいたが,断水のため洗うこともできず不衛生な状態のまま帰宅することとなった。7月8日 午前6時,団員への招集指示が出た。すでに避難勧告が発令されており,私たちも巡回を行った。昨日の経験もあり速やかに避難は完了することができた。 正午には雨も止み,私たちは午後から復旧活動に取り掛かかることとなった。交通インフラの復旧は急務であったため,道路上に流出した土砂を中心に撤去を行うこととなった(図9)。 しかし,土砂の量が多く活動は難航した。また天気が回復したことにより気温が上がり蒸し暑くなったことも,活動を難航させる要因となった。 その時,上位本部から比較的被害の少なかった旧宇和島市と津島町の方面隊から応援チームを派遣するという連絡が入った。この時点では人員などの情報は不明であり,私は吉田町の危険な状況を考えるとそう多くはないだろうと予想していた。しかし,実際に第1分団に参集した応援チームは60名程で構成されており,予想をはるかに超える人員であった。さらに他の分団に対しても続々と応援チームが参集していた。この光景は消防団員として誇らしく,被災地住民としては非常に心強いものであった(図10)。 私は応援チームの力を借りて通行止めとなっている道路上の土砂の撤去を再開した。途中からは応援チームが持参した重機も導入し活動を続けた(図11,12)。 午後4時,土砂撤去が完了し通行止めは(図9) 土砂が流れ込んだ民家

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