南予医学雑誌19巻
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南予医誌 Vol.19 No. 1 2019-79-   なんよだより 西日本豪雨災害を振り返る 情 家 俊 和 市立宇和島病院 放射線科 7月7日,私たちは西日本豪雨災害に被災した。この災害により私の住む宇和島市吉田町も甚大な被害を受けた。 現在,私は消防団(宇和島市消防団 吉田方面隊 第1分団第7部)に所属しており,この災害を消防団員として経験した。今回たまたま執筆依頼を受けたので,その活動を振り返ってみようと思う。 吉田町は前には瀬戸内海が広がり,後ろには山々が連なるという自然に囲まれた環境で,ハマチやタイの養殖やミカンの栽培など第一次産業が盛んな町である(図1)。 しかし,その一方で急傾斜地が多く平地はわずかに10%程度しかない。その平地もほとんどが標高5m未満という自然災害に弱い地域でもある。そのため自主防災の意識が高く,普段から消防団の訓練・活動も盛んに行われている。 宇和島市消防団は約2,200名の団員が所属しており,各町の方面隊に分かれて活動している(図2)。吉田方面隊も600人近い団員が各部に所属し日々防災に努めている。7月6日 前日からの雨により,この日の早朝には宇和島市の一部地域にすでに避難勧告が発令されていた。しかし吉田町では,まだ強い雨は降っておらず,私たち第7部消防団は夕方から機器点検を行うため詰所に集合していた(図3)。この時の話題はやはり予想される雨のことや,その雨によって中受稿日 平成30年11月8日受理日 平成30年11月10日連絡先 〒798-8510 愛媛県宇和島市御殿町1-1 市立宇和島病院 放射線科 情家 俊和(図1) 知永峠から見た吉田湾

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