南予医学雑誌19巻
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南予医誌 Vol.19 No. 1 2019-71-  短期間のダイエットを契機に発症した非アルコール性Wernicke脳症の一例   症例報告受稿日 平成30年10月22日受理日 平成31年1月7日連絡先 〒798-8510 愛媛県宇和島市御殿町1-1市立宇和島病院 臨床研修センター 黒田真由美 黒 田 真由美1),金 子 政 彦2),宮 崎 万 純3), 中 西 英 元2),鹿 田 久 治2) 1)市立宇和島病院 臨床研修センター 2)市立宇和島病院 血液内科 3)市立宇和島病院 内分泌内科要   旨 Wernicke脳症は, チアミン欠乏により発症する急性の代謝性脳症であり,診断・治療が遅れた場合,不可逆的な後遺症を残す。患者にアルコール摂取歴のない場合,その診断は困難となることが多い。今回我々は,古典的三徴から早期に診断・治療し得た非アルコール性Wernicke脳症を経験したので報告する。 症例は,80歳代男性。意識障害,歩行困難,複視を主訴に当院を受診した。受診8日前より極度な食事制限を行っていた。臨床症状と経過からWernicke脳症を疑い,頭部MRI検査を行ったところ,典型的な画像所見を認めたためWernicke脳症と診断した。経静脈的チアミン投与を行い,症状は速やかに改善し, 後遺症なく退院した。 (南予医誌 2019;19:71-78.)Key Words:非アルコール性Wernicke脳症, ダイエット,チアミン

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