南予医学雑誌19巻
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南予医誌 Vol.19 No. 1 2019-70-References1)  Muso E. LDL-apheresis for refrac-tory nephrotic syndrome. Nihon Jinzo Gakkai Shi 2010; 52:928-33.2)  Kobayashi T, Ando Y, Umino T, et al. Complete remission of minimal-change nephrotic syndrome induced by apheresis monotherapy. Clin Nephrol 2006; 65:423-63)  Yoshizawa T, Suzuki T, Kanmatsuse K. et al. Usefulness of LDL-apheresis for treatment of steroid-resistant nephrot-ic syndrome. Nihon Jinzo Gakkai Shi 2003; 45:25-31和文抄録 ネフローゼ症候群は,寛解に至ることなく様々な治療に抵抗を示す一群が存在する。そのような不応性の症例では,薬剤を何時どのように投与すべきかについて悩むことが多い。我々はサイクロフォスファミドやサイクロスポリンAといった強烈な治療にも反応しないネフローゼ症候群の特異な男児例を経験した。 3歳時にネフローゼ症候群を発症し,2度目の腎生検でIgA腎症と診断された男児は,頻回に再発を繰り返し,サイクロフォスファミドだけでなくサイクロスポリンAまで治療を必要とした。10年を超える期間,血清アルブミンは低値(2g/dl)を維持しながらも,次第に低下傾向を呈し,高脂血症状態が持続した。その結果無尿となり,状態が悪化して病院に搬入された。様々な治療に反応しない患者に対してLDLアフェレーシスを施行し,不応な薬剤に対する感受性が改善し,その後経過順調である。 長期経過中に再燃,再発を繰り返す難治性ネフローゼ症候群では,すでに種々の薬剤が併用されており,その使用にも自ずから制約が生じる。このような例では,適切な時期にLDLアフェレーシスを追加療法として,積極的に適用することが治療上の転換点となり,さらなる病態改善を十分期待し得ると考えられた。

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