南予医学雑誌19巻
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南予医誌 Vol.19 No. 1 2019-60-  肺吸虫症との関連が示唆された収縮性心膜炎の1例   症例報告受稿日 平成30年11月2日受理日 平成30年11月27日連絡先 〒798-8510 愛媛県宇和島市御殿町1-1 市立宇和島病院 循環器内科 主任科長 大木元明義 風 谷 卓 郎1),大木元 明 義2),大 島 清 孝2), 河 野 珠 美2),渡 部 勇 太2),宮 﨑 慈 大2), 横 本 祐 希2),濱 田 希 臣2),坂 尾 寿 彦3), 松 影 昭 一4) 1)市立宇和島病院 臨床研修センター 2)市立宇和島病院 血液内科 3)市立宇和島病院 心臓血管外科 4)市立宇和島病院 病理診断科要   旨 66歳女性。動悸,倦怠感のため入院した。著明な心膜石灰化と左右心内圧測定でdip and plateauがあり,収縮性心膜炎と診断した。結核の既往はなく,開胸術や放射線照射による治療歴もなかったが,小児期の肺吸虫症罹患歴があった。抗寄生虫抗体スクリーニング検査でウエステルマン肺吸虫症の慢性感染の可能性が示唆され,肺吸虫症が心膜石灰化と収縮性心膜炎に関与している可能性が推測された。先進国における収縮性心膜炎の原因として結核によるものは減少し,ウイルス性,開胸術後,放射線照射後に起こるものが増加している。今回,肺吸虫症と収縮性心膜炎の関連が示唆された症例を経験したため報告する。 (南予医誌 2019;19:60-66.)Key Words:収縮性心膜炎, 肺吸虫,心膜石灰化

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