南予医学雑誌19巻
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南予医誌 Vol.19 No. 1 2019-4-例検討会の質の維持・向上を図っている。市立宇和島病院の役割 当院は,2005年地域がん診療連携拠点病院に指定され,南予唯一の拠点病院としてがん診療を担ってきた。地域がん診療連携拠点病院は,緩和ケア提供体制の中で地域の医療機関及び在宅療養支援診療所等と連携し,協力体制を整備するとともに,かかりつけ医の協力・連携を得て,主治医及び看護師が緩和ケアチームとともに,退院後の居宅における緩和ケアに関する療養上必要な説明および指導を行う必要が求められている1)。そのため,当院が,宇和島地区モデル事業に積極的に協力し連携強化を図ることは,地域がん診療連携拠点病院としても重要な役割であると考える。 2017年度,宇和島地区モデル事業登録者28名のうち当院に入院または,通院中の患者が21名(75%)であった(図4)。また,当院をバックベッドに希望する患者は,23名(82%)であった(図5)。24時間の受け入れ体制を整備していることは,患者・家族が,安心して自宅で療養するためには欠かせない体制である。当院は南予救命救急センターも併設し,南予地域における救急医療を担う重要な役割を担っていることから,患者・家族にとってはより安心して在宅療養できる環境の一つにつながっていると考えられる。当院でバックベッド登録を受け入れる体制整備 近年,がん治療は,新薬や新しい治療法により生存期間を延長できるようになった。しかし,がん薬物療法等の効果が得られなくなり,緩和ケア主体の医療となった時,患者・家族は,今後の医療をどこで受けるか,最期をどこで迎えるかという選択に直面することがある。当院では,外来患者の場合は,地域連携室の看護師・MSW,入院患者の場合は,入院病棟の看護師・退院支援担当者が中心となり,地域の医療機関等と連携を図り,患者家族の希望に沿った療養支援を行っている。以前は,患者・家族が,最期まで自宅で過ごすことを希望(図4)紹介元病院市立宇和島病院

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