南予医学雑誌19巻
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岩森、他:看護師と医師の手術安全チェックリスト使用における実態と意識調査南予医誌 Vol.19 No. 1 2019-51-り,看護師にとっては,患者確認はもとより手術に必要な書類や持参品の確認,患者自身に確認する項目など,多くの項目を短時間の流れの中でチェックする非常に重要な場面である。医師にとっては,麻酔導入前の確認は病棟で完了している項目が多いため,重要性が低いと判断されたものと考えられる。タイムアウトの場面で有意差があったフットポンプ開始項目は,看護師のインシデント対策として追加した項目であるため有意差が生じたと考えられる。サインアウトの場面では,医師と看護師の認識の違いは認められなかったが,手術室退室前の確認をいつ行うべきかタイミングが難しいとの意見があった。サインアウトの確認時期については,術式や患者の重症度などにも影響を受け変化するため,外回り看護師の柔軟な対応が求められる。 駒田1)らは「タイムアウトの実施を妨げていた要因はタイミング(時)・確認方法(指差し確認,患者参加型)・主動者(開始号令をかける人)・意識統一(教育・啓蒙)である」と述べている。手術安全チェックリストは最終確認ツールであるとともに,コミュニケーションツールでもある。チェックすることが目的ではなく,医療従事者間の情報共有を図るツールである。そして看護師だけが行うものでなく,手術に携わるすべてのスタッフが同じ認識をもって確実に実施することが重要であり,その結果として周術期患者の有害事象を防ぎ,患者安全に繫がっていくものと考えられる。今後,独自の手術安全チェックリストの確実な使用と検証を継続し,患者安全に取り組むことが重要である。結論 手術安全チェックリストによる安全確認は概ね適正に行われ,患者の安全確認に繋がっている。手術安全チェックリストの項目別重要度は,サインインの場面において医師・看護師間に認識の違いが比較的多く見られた。引用文献1)  駒田裕司他,効果的なタイムアウト実施への取り組み:日本手術看護学2012:Vol.8 No1:p63-65

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