南予医学雑誌19巻
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南予医誌 Vol.19 No. 1 2019-2-はじめに 2007年4月施行となった「がん対策基本法」に基づき,愛媛県では「がんになってもお互いに支え合い,安心して暮らしていける地域社会を実現する」事業の1つとして,2012年度から愛媛県在宅緩和ケア推進協議会が主体となり「愛媛県在宅緩和ケア推進モデル事業」を実施している。この事業の主な柱は,在宅緩和ケア実施地域の拡大,多職種連携強化,地域の核となる人材育成であり,2012度から今治地区と大洲・喜多地区,2014年度からは八幡浜地区,2016年度からは宇和島地区で実施している。 私は,同年より宇和島医師会訪問看護ステーション所長とともに宇和島地区の在宅緩和ケアコーディネーターとして,院内を中心に在宅緩和ケア調整を行っている。 本稿では,宇和島地区在宅緩和ケア推進モデル事業(以下,宇和島地区モデル事業)開始から2年間を振り返り,宇和島地区モデル事業の概要と当院の役割と現状,課題について述べる。宇和島地区在宅緩和ケア推進モデル事業について 宇和島地区モデル事業は,2016年度から,宇和島医師会を主体として事業運営を行っている。主な事業内容としては,宇和島地区の在宅緩和ケア体制のシステム作り(図1),多職種の連携,人材育成を目的とした月に1回の事例検討会・運営委員会,年に1回の市民公開講座,研修会の企画・運営である。2018年度には,在宅療養支援診療所8診療所,訪問看護ステーション11施設,調剤薬局18薬局,バックベッド病院が6病院登録され,発足当時よりも10(在宅支援診療所:2,訪問看護ステーション:7,バックベッド病院:1)の登録施設が増加した。 事例検討会には,医師・看護師・薬剤師(図1)在宅緩和ケア推進モデル事業登録の流れ

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