南予医学雑誌19巻
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南予医誌 Vol.19 No. 1 2019-34-体が大きく変形しているような鼻骨骨折や高い鼻背の症例では十分な描出が困難であった。そこで2018年より当科でもゲルパッドを導入した。鼻背部のエコー描出は接地面が少ないことから困難であったが,ゲルパッドを使用することで接地面が広がり,より容易に全体を描出できるようになった。骨折部のエコー描出は術者のエコー検査の習熟度に関係するが,ゲルパッドの使用によって若手の術者でも,水平断,斜位断,矢状断を容易に高い再現性をもって描出することができる。 鼻骨骨折に対してエコーを用いた徒手整復術を行い,エコーの有用性を確認できたが,ゲルパッドを用いると更に良好な整復が得られると考える。結語 我々は鼻骨骨折徒手整復時に超音波検査を用い,その有用性を検討した。結果,全症例において満足な整復が得られた。 エコーを用いた徒手整復術は術者の主観的評価に加えて,術中のreal timeな客観的評価が可能となり,整復の成否を考慮する一つのmodalityとして有用である。 参考文献1)  小川武則,鈴木直弘,沖津卓二,他:鼻骨骨折の臨床統計及び画像診断. 耳鼻臨床 2002;95:51-61.2)  矢部哲司,元村尚嗣,村岡道徳,他:鼻骨骨折新鮮例の術後CT所見による評価とその必要性について. 形成外科 1999;42:303-307.3)  岸部 幹,斎藤 滋,原渕 保明,他:鼻骨骨折における超音波エコー検査の有用性. 日耳鼻 2005;108:8-14.4)  平川勝洋,立川隆治:鼻骨骨折 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 処置・手術シリーズ No.1 耳鼻咽喉科外傷,メジカルビュー社,2002:pp 52-57.5)  広田佳治,清水弥生,飯沼寿孝,他:鼻骨骨折の画像診断.日耳鼻 1988;91:539-546.6)  加瀬康弘,善浪弘善:鼻骨骨折 JOHNS 1994;10:1047-1051.7)  田中崇,藤崎純,金子南紀子,他:鼻骨骨折整復固定術時における術中体表超音波検査の有用性. 超音波検査技術 2013;38:598-604.

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