南予医学雑誌19巻
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南予医誌 Vol.19 No. 1 2019-32-(図3)症例2 16歳 男性a:術前CT所見(軸位断) 右向き斜鼻型+鞍鼻型骨折(矢印)を認める。b:3D再構築像による整復前CT所見(軸位断)c:整復前のエコー像 右鼻背部に骨の不連続性(*)を認める。d:整復後のエコー像 骨の不連続性の改善(#)を認める。から整復術を施行するが,受傷後すぐ骨折部の線維性骨癒合が始まるため整復までに日数を要するほど整復は困難になるといえる。一般的に受傷から2週間以内での整復が推奨されている。当科の手術は受傷後平均9.5日であり,エコーを用いることで比較的早期に整復術を施行できた。また,小児では成人に比して線維性癒合がより早期におこるといわれている6)。今回,当科の検討では10代の受傷者は半数以上であり,若年者に多かった。これら線維性癒合が早くおこる若年者の鼻骨骨折に対しエコーで早期に整復術を施行できれば,より良好な整復が得られると思われる。 加えて術後の患者及び家族への説明において,自覚的評価に加えエコー画像を供覧しながら説明することも可能で,患者の満足度も向上すると考えられる。(図5)は症例10の鼻骨骨折整復後の経過中に他疾患で施行したCT検査である。被爆の問題やコストの面から基本的に当科では術後評価にCT検査は施行していないが,この症例ではCT検査でも良好な整復がみてとれエコー下での整復術の有用性を改めて確認できた。 一方,エコーでの整復術には問題点もある。局所的な骨折や微細な骨折に関しては十分な描出が可能であるが,外鼻全体の描出を必要とするような骨折では,描出が不十分になる。これに関してゲルパッドを使用することで,外鼻全体の描出が可能になると報告がある7)。今回の検討でも外鼻全

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