南予医学雑誌19巻
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岩田、他:超音波検査を用いた鼻骨整復南予医誌 Vol.19 No. 1 2019-31-症 例3:13歳,女性 ソフトボールの試合中にボールが顔面に当たり,受傷翌日に当科外来を受診しCT検査で鼻骨骨折を認めた。当初は整復術の希望はなかったが,腫脹が引いてくるにつれ鼻背の変形が気になるようになり,受傷後7日目に全身麻酔下に整復術を施行した。 整復前のエコー所見で骨折線を確認し,徒手整復を施行した。視診上,改善は明らかではなかったが,エコーで改善を認め整復を終えた。(図4)考察 鼻骨骨折徒手整復術は手技が単純なことから比較的早期に習熟できる手術とされているが,整復の成否に関しては術者の主観的評価に頼るところが大きく,整復が良好になされているかの判断に困ることがある。そこで我々は鼻骨骨折整復に術中エコーを用い,客観的に評価することによって手術成功率を向上させられるか,エコーの有用性を検討した。 これまでは整復できたか判断が難しい軽微な骨折や鞍鼻型・混合型といった整復自体が難しい骨折形態の症例があった。今回,エコーを用いて鼻骨骨折徒手整復術を行い,軽微な骨折や鞍鼻型・混合型でも正確に整復の評価ができた。その結果,全症例において患者の高い満足度を得ることができ,術中のエコー評価は非常に有用であると思われる。 鼻骨骨折は線維性癒合の観点から受傷後早期の整復が望まれるが,受傷早期の腫脹が強い時期には整復後の主観的評価が困難なことが多く整復成否を判断することが難しい。そのため腫脹が消退するのを待って(図2)症例1 22歳 男性a:術前CT所見(軸位断) 右側の鼻骨に陥凹する骨折(矢印)を認める。b:3D再構築像による整復前CT所見(軸位断)c:整復前のエコー像 左鼻背部に骨の不連続性(*)を認める。d:整復後のエコー像 陥凹所見がほぼ改善されている(#)。

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