南予医学雑誌19巻
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大下、他:全自動血液凝固測定装置CS-2500におけるファクターオートP-FDP,Dダイマー試薬の基礎的検討およびFDP,Dダイマー測定値逆転現象の解析南予医誌 Vol.19 No. 1 2019-23-(図7)経時分解サンプルの測定mL)ダイマー(μg/mFDP(μg/mL)Dダ検討試薬対照試薬対照試薬A.症 例  患者は60歳代,女性。胃がんの診断で胃全摘後に急性腹膜炎で緊急開腹手術を施行された。腹膜炎術後より対照試薬でDダイマー値がFDP値より高くなる逆転現象を経時的に認めた。B.検査所見と経過  腹膜炎手術をX日とし,手術直後の採血では対照試薬でFDPが18.4μg/mL,Dダイマーが11.9μg/mLであった。しかし翌日 (X+1日)の午前採血ではFDPが25.8μg/mL,Dダイマーが24.7μg/mLと値が接近し,同日午後採血ではFDPが19.7μg/mL,Dダイマーが20.0μg/mLと逆転現象を認めた。以後,FDPとDダイマー値は接近したままで推移し逆転現象が3回確認された(表3)。輸血はX+6日に照射赤血球液4単位,照射濃厚血小板10単位,新鮮凍結血漿2単位を,X+7日に照射赤血球液4単位を,薬剤はX日からX+7日までトロンボモデュリン アルファ12,800 単位を投与された。C. 試薬間差  対照試薬でFDPとDダイマー測定値の逆転現象を認めた試料を検討試薬で測定すると逆転現象はみられなかった(表4)。両試薬のDダイマー値は問題なかったが,対照試薬のFDPが低値傾向であった。両試薬でFgDPのD分画を多く含む試料(図8)のFDPを測定したところ検討試薬が37.1μg/mLに対し,対照試薬は0.9μg/mLとほとんど反応しなかった。D. 検体解析  試料をウエスタンブロット法で解析した結果,D分画の出現を経時的に認めた(図9)。6. 考 察 全自動血液凝固測定装置CS-2500におけるファクターオート試薬の基礎的検討結果と対照試薬との相関性は良好であった。

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