南予医学雑誌19巻
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南予医誌 Vol.19 No. 1 2019-18-(表1)各社抗原認識部位DDキューメイ研究所QD-3G1積水化学D領域1種三菱化学JIF23三菱化学JIF-23シスメックスDD1653ロシュ8D2,2.1.16序言 現在FDP (Fibrin/Fibrinogen Degradation Products)およびDダイマーは多くの施設で検査が実施され,DIC (disseminated in-travascular coagulation)や種々の血栓性疾患の診断,病態評価等に広く用いられている線溶系マーカーである1,2)。Dダイマー値は活性型ⅩⅢ因子の作用によりクロスリンクを受けた安定化フィブリンがプラスミンで分解されたフィブリン分解産物 (cross-linked brin degradation products:XDP)の量を反映する3,4)。また,FDP値はプラスミンによるフィブリノゲン分解産物 (Fi-brinogen Degradation Products :FgDP)とXDPを含むフィブリン分解産物の量を反映する。したがってDダイマーは二次線溶のみに出現し,FDPはDダイマーを含む一次,二次線溶から生成されるためFDPとDダイマーの両方を測定することで線溶活性化の程度を推測することができ,測定値はFDPがDダイマーよりも大きくなる。しかし測定値には試薬メーカー間差がみられるのが現状であり,その原因としてXDPには多種多様な分子種が存在すること,各社抗体の抗原認識部位(表1)や反応性が異なることなどが挙げられる2),5-11)。ファクターオートP-FDP,Dダイマー試薬 (株式会社キューメイ研究所)は多種多様な分子種に対してほぼ均一に反応するマウスモノクローナル抗体を用いており線溶活性化の程度を推測することが可能である1),2)。1.目的 今回,全自動血液凝固測定装置CS-2500におけるファクターオートP-FDPおよびDダイマー試薬の基礎的検討を行う。また,ファクターオート試薬を用いてFDPとDダイマー測定値の逆転現象の原因を解析できた1症例について合わせて報告する。2. 測定原理 FDPは2種類のクローン (5G5-E7,3G1D-1C9)の抗FDPマウスモノクローナルIgG F (ab’)2抗体,Dダイマーは抗Dマウスモノクローナル IgG F (ab’)2抗体 (QD-3G1)を感作したラテックス粒子と試料中のFDP,Dダイマーが抗原抗体反応し凝集して濁度が増加する。この濁度の変化量を光学的に測定してFDP,Dダイマーの濃度を求める。3. 測定試薬と測定機器 検討試薬はファクターオートP-FDPおよびDダイマーを用いた。対照試薬はリアスオートP-FDPおよびDダイマー・ネオ (シスメックス株式会社)を用いた。 測定機器は全自動血液凝固測定装置CS-2500 (シスメックス株式会社)を用いた。試料は平成27年7月から平成28年1月までの期間,当院臨床検査科にFDP,Dダイマーの測定依頼があった3.2%クエン酸ナトリウム加血漿検体を匿名化して用いた。

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