南予医学雑誌19巻
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越智、他:八幡浜・大洲圏域における大災害時勤務交流南予医誌 Vol.19 No. 1 2019-13-最適化するための調査報告などを見出すことは困難である。 われわれは2014年,災害拠点病院である市立八幡浜総合病院において,BCP策定の基礎資料とするために,大災害時の職員参集率を試算した1)。その結果,発災から1時間以内に参集できる職員は道路損壊時で54.0%,さらに大津波警報下には31.8%にとどまった(平常時の1時間以内参集率は99.1%)。このとき,勤務先である当院へ到達できない状況で,自宅近くあるいは通勤途上にある医療機関・救護所などで活動する制度があればという声があった。通勤困難な当院職員が他院を,当院近くから勤務している他院職員が当院を助けることができれば,地域内のマンパワーを最適化することができるという提案である。 実際に大災害時に徒歩での参集に6時間以上を要する当院職員に聴取すると,他の医療機関や救護所での災害対応に協力したいとの希望を持つ者は77.3%に上り,大多数の職員が他院での災害時活動に前向きであると推定された。 以上のことから,八幡浜・大洲圏域災害医療対策会議において,災害時施設間の勤務交流について提案し,圏域内の医療機関の施設長に対し,自施設職員の他院での活動および他施設職員の自施設受入れの可否について調べることとした。また,圏域内のどのくらいの人数の病院職員が勤務交流に応じるかも調査項目に含めた。 なお,圏域内A市の2つの市立病院には以前より,大災害時に通勤困難であればどちらの市立病院で活動してもよいという申し合わせがある。一方,B市の市立病院においても,通勤困難であれば他の医療機関(図2)災害時に他施設で活動してもよいと答えた職員

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