南予医学雑誌 第18巻
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南予医誌 Vol.18 No. 1 2017-8-以内に医療機関で保健所保健師が面接を行った。退院後の支援としては,保健師による訪問が最も多く,来所面接や電話などでも対応しており,本人の了解が得られれば,管内市町の保健師と協力して支援している。支援介入後,既遂に至った事例は現時点ではない。 また,支援者間の連携強化や情報共有を目的としたケア会議や,支援者自身のスキルアップと抱え込み防止を目的とした事例検討なども開催している。 このような取組は,全国的にもまれで,H27年9月には内閣府自殺対策推進室作成「地域における自殺対策取組事例集」にも掲載され,以後,全国各地から問い合わせが寄せられている。 H29年3月に策定された「愛媛県自殺対策計画」においても未遂者支援は重点的取組の一つとなっており,県内の他の圏域でも少しずつ支援体制が構築され始めているところである。(図9)2) 南予子ども・女性支援センターにおける自殺未遂対策 南予子ども・女性支援センターでは,児童福祉法に基づき,育成相談として,リストカットや過量服薬など自殺未遂児童への対応について,保護者や関係機関から相談を受けている。 児童の自殺未遂対応は家庭,学校との連携は不可欠であるが,事例の多くは救急搬送され,救急医療機関における対応がその後の対応を大きく左右する。 児童の場合,身体的処置終了後,市立宇和島病院小児科が心と体の両面を診て,精神科専門医や心理士への介入等心のケアにつなげており,継続した支援と見守りにより児童の心と体の回復を促し,元気に学校生活を送れた事例もある。 まさしく,自殺対策における地域のゲートキーパーの役割を果たしていただいており,感謝している。 これからも,当地域で各機関がそれぞれの機関の強みを生かし,つながることで,自殺に傾く子どもたちを支援できたらと思う。(図9)保健所WG 自殺未遂者支援 実績(市立宇和島病院の連絡件数に限る)

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