南予医学雑誌 第18巻
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南予医誌 Vol.18 No. 1 2017-70-た。D-ダイマーは上昇しsoluble interleukin 2receptor(以下sIL-2受容体)は高値であった。血液培養と尿培養はいずれも陰性であった。頸部~腹部造影CTを施行したが皮下脂肪織濃度上昇以外に特記すべき所見を指摘されなかった。【経 過】 初診時の画像検査や血液検査からは全身浮腫を来し得る心疾患,腎疾患,肝疾患,および内分泌疾患は否定的であった。著明なLDHの上昇とsIL-2受容体高値を認め,悪性リンパ腫の可能性が考えられた。骨髄穿刺・骨髄生検を施行したところ異型細胞は認められなかったが血球貪食像を認めた。ランダム皮膚生検を施行したところ皮下脂肪織内の小血管内にCD20陽性の大型のリンパ系細胞を認めた(図1)。以上からIVLBCLと診断しR-THP-COP療法(ritux-imab, tetrahydropyranyl adriamycin, cyclo-phosphamide, vincristine, prednisolone)を開始した。速やかに臨床症状および血液検査所見は改善し第26病日に退院した。退院時の体重は87.4㎏まで減少していた。その後外来でR-THP-COP療法を継続し,6コース施行後のCTおよびPET-CTでは再発病変は指摘されず,治療後8か月の現在も完全寛解を維持している。【考 察】 IVLBCLはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma; DLBCL)(図1)ランダム皮膚生検      A,B:HE染色 強拡大,C:CD20免疫染色,D:CD5免疫染色真皮の小血管内腔に大型で明瞭な核小体を持つ単核細胞の集簇を認める。それらの細胞はCD20陽性、CD5陰性であった。

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