南予医学雑誌 第18巻
67/91

南予医誌 Vol.18 No. 1 2017-66-なく,また薬剤の添付文書に副作用の記載はなかったが,抗がん剤の投与が腸管炎症を引き起こし腸内細菌叢に変化を来たすとの報告はある4)。レジメン変更後も同様に発症していることを考慮すると,薬剤自体による副作用というよりは抗がん剤投与に伴う腸内環境の変化がC.difcile菌の増殖を引き起こした可能性が高いと推察される。 また本症例では身長143㎝,体重37㎏と体格の小さい高齢者であったことからメトロニダゾールを推奨されている初回投与量より減量しており,その点も本症の再発を助長した可能性も否定できない。 近年,高齢化に伴い,高齢者に対する化学療法施行数も増加している。高齢者は抗がん剤による全身への影響が大きく出現することも予想されるので化学療法を行う際にはより注意が必要であると考えられた。結 語 今回我々は,子宮体癌の術後化学療法中に偽膜性腸炎を繰り返した1例を経験した。本症は3ヶ月以内に抗菌薬投与があれば発症のリスクとなり,抗がん剤投与も発症の誘因となりうる。 特に高齢者では診断,治療が遅れると重篤化することもあるため,化学療法中に下痢症状を認めたら本症を念頭に置き,早期診断早期治療に努める必要がある。 本稿における利益相反はありません。文献1)  厚生労働省:重篤副作用疾患別マニュアル 偽膜性大腸炎 平成20年3月2)  土田知史,林勉,林茂也 他6名:癌化学療法中の発熱性好中球減少症に合併した偽膜性腸炎に対しバンコマイシン注腸が有効であった1例 癌と化学療法 第37巻 第9号 2010年9月 1821-18233)  森本由紀子,長谷川幸清,澤井倫子 他2名:卵巣癌化学療法後に偽膜性腸炎を呈した1例 産婦中四会誌 Vol.53 No.2 122-1264)  前田由起子,山崎浩一,菊池英毅 他3名:パクリタキセルを含む化学療法中に発症したClostridium dif-cile腸炎の1例 日呼吸会誌 43(11) 20055)  上田明子,中村紘子,友野勝幸 他4名:経腟分娩後にClostridium dif-cile関連腸炎を発症した1例 現在産婦人科 Vol.65 No.2 2016年 259-2626)  一般社団法人日本感染症学会,公益社団法人日本化学療法学会 JAID/JSC感染症治療ガイド・ガイドライン作成委員会 腸管感染症ワーキンググループ   JAID/JSC 感染症治療ガイドライン2015-腸管感染症-7)  宿南憲一,黒川哲司,久保真 他5名:婦人科疾患の術後に発生した偽膜性大腸炎の2例 産科と婦人科・第64巻・11号8)  上田浩,林道治,林知節 他4名:子宮頸癌術後に発症した偽膜性大腸炎の1症例 産科と婦人科・52巻・12号

元のページ  ../index.html#67

このブックを見る