南予医学雑誌 第18巻
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南予医誌 Vol.18 No. 1 2017-64-ル+カルボプラチン)療法に変更し,施行した。 投与直後に有害反応認めず外来にて化学療法を継続していたがday18(術後151日目)に水様下痢を認め便中CDトキシン陽性であり偽膜性腸炎と診断した。2回目の再燃であり厚生労働省の偽膜性大腸炎対応マニュアルに準じてVCM0.5g/dayの内服と耐性乳酸菌製剤の内服を開始し,症状は軽快した。 今後の治療方針について,ご本人,ご家族に①レジメン変更,②放射線治療,③治療の中止を提示したところ治療の中止を希望された。従って,化学療法は一旦終了とし,現在も外来にて経過を観察しているが,術後1年7ヶ月経過した現時点では子宮体癌の明らかな再発やPMCの再燃は認められていない。考 察 偽膜性腸炎(pseudomembranous colitis ;PMC)はClostridium difcile(C.difcile)感染による臨床病態である。C.difcile感染がもたらす病態はC.difcile症(Clostrid-ium difficile –associated disease;CDAD)と総称され,院内感染が大多数を占める。C.difcileは嫌気性菌で芽胞を有し,院内感染はこの芽胞を介して経口感染により生じる。本菌は,成人では2%,老人では10~20%,乳幼児では最大50%に無症候性の腸内細菌叢集落を作ると言われているが,抗菌剤等により正常細菌叢が破壊されC.difcileが異常繁殖した際に本菌の産生する毒素が腸管粘膜を傷害することで腸炎が発症すると推察されている1)。典型例では,セフェム系,クリンダマイシン,アンピシリンなどの抗菌薬が原因として有名であるが,近年では抗癌剤による発症も散見経 過18000好中球数()経過1400016000好中球数(/μl)CDトキシン1200014000CDトキシン陽性トキシン陽性800010000CDトキシン陽性40006000APAPAPwTwTwT下痢下痢下痢02000P①P②P③TC1-①TC1-②TC1-③MNZVCMVCMMNZMNZ750mg/日VCM0.5g/日VCM0.5g/日MNZ750mg/日

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