南予医学雑誌 第18巻
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岡田、他:パゾパニブによりCRが得られた悪性葉状腫瘍再発の1例南予医誌 Vol.18 No. 1 2017-59-(図5)2年後胸部CT 一方最近では分子標的治療薬の開発が進み,スニチニブの著効例や5),軟部肉腫(n=372)に対するパゾパニブの第Ⅲ相試験(PALETTE)6)が報告されている。葉状腫瘍は肉腫の一型であり,上皮性腫瘍である乳癌とは異なる疾患として取り扱う必要がある。再発または転移の進行軟部肉腫を対象としたPALLETE試験では,パゾパニブ(中央値:4.6ヶ月)はプラセボ(同:1.6ヶ月)と比較して有意に無増悪生存期間を延長した(HR0.31,p<0.0001)。ただし,PALETTEには乳腺悪性葉状腫瘍症例は含まれておらず,悪性葉状腫瘍の治療法として確立されていない。パゾパニブはマルチキナーゼ阻害剤であり,VEGFR-1,-2,-3,PDGFR-α,-β,c-Kit等を阻害する。日本人での報告例7)同様に,有害事象として本症例でも高血圧,血小板減少,手足症候群,肝機能障害を認めたが,適切に管理すれば有害事象のコントロールは困難ではなかった。PALLETEを含めたEORTCの統合解析では,パゾパニブにより2年以上PFSが得られた軟部肉腫患者は344例中12例3.5%で,long SDが10例でPRは2例のみと報告されている8)。悪性葉状腫瘍でのCRの報告はない。最近では1st lineでの治療も行われており7),希少疾患で治療法が確立されていない悪性葉状腫瘍においてはまず試みるべき治療法と考えた。参考文献1)  Tan EY, Tan PH, Yong WS et al: Recur-rent phyllodes tumours of the breast: pathological features and clinical im-plications. ANZ J Surg. 7(6): 476‒80. 20062)  日本乳癌学会編:乳癌診療ガイドライン(治療編)2015年版,金原出版,東京:119-121,20153)  Mituś JW, Blecharz P, Walasek T et al: Treatment of Patients with Distant Metastases from Phyllodes Tumor of the Breast. World J Surg. 40(2): 323-328, 2016

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