南予医学雑誌 第18巻
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南予医誌 Vol.18 No. 1 2017-46-はじめに 2015年5月30日20時24分頃,M8.5規模の小笠原諸島西方沖地震が発生し,47都道府県の全てで震度1以上を観測した。この時,全国に緊急地震速報があり,地震のカウントダウンが始まった。宇和島市では,震度1で大事には至らなかったものの,病棟で勤務していた夜勤リーダー看護師は気が動転し「もしあの時大きな地震が起きていたらどうしたらよいか分からなかった」と話していた。 南海トラフ地震は今後30年以内に70%程度の確率で起きるといわれている1)。市立宇和島病院は災害拠点病院であり,災害時には多くの患者を受け入れる体制を整えておく必要がある。防災訓練は全職員を対象に年1回休日に行われ,実際に本部が設置される2階の外来エリアを中心に発災から災害診療までの訓練を行っている。病棟からは2~3名のスタッフのみが参加し,入院班・外来班などに分かれて訓練を行う。その為,スタッフとしての活動が身につく人数は限られ,災害が起きた時どれ程の対処が出来るのかと不安に感じた。そこで院内の夜勤リーダー経験者や訓練参加者は何名いるのか,また夜勤リーダー経験・訓練参加の有無で防災に関する知識・意識に違いはあるのかについて調査を行った。研究目的 市立宇和島病院病棟看護師において,夜勤リーダー経験の有無,また訓練参加の有無で地震に関する知識・意識に違いがあるのかを明らかにする。研究方法1. 研究期間:2015年8月20日~2016年4月20日2. 研究対象:市立宇和島病院の病棟で勤務する師長・主任・平成28年度採用以外で同意を得られた病棟看護師全員3.用語の定義  リーダー:病棟看護師の夜勤リーダー   自主参集命令の震度:地震震度6弱以上(災害レベル3・すべての病院職員が直ちに出勤)4.方 法1) 災害に関する地震時の知識・意識に関するアンケートを作成した。内容は,年齢,看護師経験年数,リーダー経験の有無,訓練参加歴,看護職員・リーダーとしての知識,自由記載等の25項目とした。2) アンケートは無記名で,質問形式は選択回答・自由回答とし,回答形式は単記法・2項選択法とした。研究対象者へ配布し1週間後に回収袋にて回収,エクセル入力し,単純集計を行った。5. 倫理的配慮:本研究は市立宇和島病院看護部倫理委員会の承諾を得て実施した。研究の趣旨を文書で説明し,調査に対しては任意であり,アンケートの結果により不利益を被らないこと,プライバシーを保護すること,本研究以外には使用しないことを明記し,アンケートの回答をもって同意が得られたとした。

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