南予医学雑誌 第18巻
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南予医誌 Vol.18 No. 1 2017-34-各々のシグナル数を蛍光顕微鏡または光学顕微鏡で計数し,CEP17シグナル総数に対するHER2シグナル総数の比率(HER2/CEP17比)を算出する。その結果と1細胞あたりのHER2遺伝子コピー数の平均値を併せて,HER2遺伝子増幅の有無を陽性/境界域(equivocal)/陰性と判定している。判定は,IHC法/FISH法ともにHER2検査ガイド(乳がんHER2検査病理部会)に基づいて行った。結果と考察1)IHC法の成績 乳癌262例のIHC法による判定結果は,2014年度でスコア0が54例(77.1%),スコア1+が8例(11.4%),スコア2+が2例(2.9%),スコア3+が6例(8.6%),2015年度でスコア0が48例(59.2%),スコア1+が17例(20.9%),スコア2+が9例(11.1%),スコア3+が7例(8.6%),2016年度でスコア0が33例(40.2%),スコア1+が17例(20.7%),スコア2+が22例(26.8%),スコア3+が10例(12.2%)であった(図1)。最近3年間の傾向では,IHCスコア0と判定される割合は減少し,IHCスコア2+と判定される割合が増加していた。HER2検査ガイドの改定により,従来はIHCスコア0と判定されていた「完全な全周性の細胞膜陽性癌細胞が10%以下」の症例や,従来はIHCスコア1+と判定されていた「不完全な全周性の膜染色が>10%の癌細胞に認められる」症例は,スコア2+と定義されるようになったことが影響していると考えられた。2)IHCスコア2+症例の検討 IHCスコア2+と判定された症例(2014年度2例,2015年度9例,2016年度22例)は,全例リフレックステストとしてFISH法を実施した。FISH法による判定結果は,2014年度でHER2陽性が0例,HER2陰性が2例,2015年度でHER2陽性が0例,HER2陰性が9例,2016年度でHER2陽性が8例,HER2陰性が14例であった(図2)。HER2検査ガイド改定以降,IHCスコア2+と判(図1)IHC法の成績77.1%59.2%40.2%11.4%20.9%20.7%2.9%11.1%26.8%8.6%8.6%12.2%0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%100%2014年(70例)2015年(81例)2016年(82例)3+2+1+0

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