南予医学雑誌 第18巻
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南予医誌 Vol.18 No. 1 2017-26-請があった59件のうち,何らかの回復困難な疾病を持っていたのは22例(59件中の37.3%)にとどまった(表2)。疾病の内容としては悪性新生物(8例,36.5%),脳疾患(5例,22.7%),心疾患と認知症(各3例,13.6%)などの順に多かった(図1)。 年齢区分別(図2)に見ると,CPA搬送者数は80歳代がピークであったが,DNAR希望のあった傷病者の比率は90歳代を含め,高齢者ほど高率であった(60歳未満3.4%に対し,90歳以上26.3%)。一方,看取りの場所について合意があったのは合計19件であった。うち4件で医療機関と消防本部で把握内容に不一致があり,医療機関の把握内容で集計した。19件中,自宅での看取り希望は8件(42.1%),施設が6件(31.6%)であり,病院等での看取り希望は5件(26.3%)にとどまった。2. DNAR意思を有するCPA傷病者の搬送状況事 例⑴ 書面によるDNAR要請があったにもかかわらず119通報,病院搬送【通報日時】平日の勤務時間外(18時台)【通報内容】食事中に嘔吐し,CPAとなった。【救急隊活動】現着後,施設職員とCPRを交代。【意思表示】老人介護施設入所時に,書面によるDNAR要請あり。【対 応】家族にDNARの意思を確認し,CPRのみを実施し,医療機関へ搬送。医療機関での二次救命処置は実施せず。事 例⑵ 書面による家族のDNAR要請があるにもかかわらず119通報,病院搬送【通報日時】平日の勤務時間外(22時台)(表2)DNAR等に関する調査結果集計表

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