南予医学雑誌 第18巻
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南予医誌 Vol.18 No. 1 2017-23-  愛媛県南予地域の救急現場におけるDNAR (Do-Not-Attempt-Resuscitation)対応の現状と課題   原  著受稿日 平成29年3月31日受理日 平成29年6月30日連絡先 〒796-8502 愛媛県八幡浜市大平1-638 市立八幡浜総合病院救急部 越智 元郎 曽 我   功1),越 智 元 郎2)3),河 野 典 郷1), 佐々木 貴 紹1),大 星   勝1),根 津 賢 司2)4) 1)八幡浜地区施設事務組合消防本部 2)南予地域メディカルコントロール協議会 3)市立八幡浜総合病院麻酔科・救急部 4)市立宇和島病院 外科要   旨目 的:全国の救急現場では搬送中のDNAR(Do-Not-Attempt-Resuscitation)対応や施設等での看取りに係わる問題が起こっており,救急隊員はその扱いに苦慮している。今回,その実態を把握し救急活動に役立てるため,南予メディカルコントロール(MC)協議会所属の消防本部と救急医療施設に対しアンケート調査を依頼した。方 法:対象は南予地域メディカルコントロール協議会所属の5消防本部が平成26年9月1日以降の1年間に救急搬送したCPA(心肺停止)傷病者の関係者で,搬送後に救急隊及び病院関係者が家族等への聞き取りにより,搬送対象患者のDNAR希望の有無やその意思表示の方法(書面など)について調査した。結果:搬送CPA傷病者253人のうちDNAR意思があったのは59人(23.4%)に上った。このうち,何らかの根治治療不能な疾病を持っていた人は22人(37.3%)にとどまった。また,看取りの場所について具体的な合意のあった19人のうち,自宅または施設など病院以外の場所での看取り希望が14人(73.7%)を占めたにもかかわらず,119番通報がなされた。考察及び結語:書面や口頭で意思表示があった場合でも,救急隊はCPR(心肺蘇生法)を継続しながら搬送しており,救急要請した関係者ともども,とるべき行動がはっきり定まっていない様子がうかがえた。DNAR要請があった場合のとるべき行動をメディカルコントロール協議会等で明確にしておくことが必要と考えられた。 (南予医誌 2017;18:23-31.)Key word:DNAR指示,救急現場,看取り,愛媛県南予地域,メディカルコントロール

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