南予医学雑誌 第18巻
22/91

矢野、他:7年間の当院で行われた超緊急帝王切開についての検討南予医誌 Vol.18 No. 1 2017-21-児の状態は良好で母児同床可能であった。母体もDICをきたさなかった。1ケ月健診でも児の発育は良好であった。考察 野中らの結果ではAS5分値での新生児仮死の有無で臍帯動脈血pHに有意な差が出た1)が,当院での超緊急帝王切開では臍帯動脈血pH,AS1分値,AS5分値,帝王切開から娩出までの時間に関して帝王切開週数,受診経路,帝王切開理由,帝王切開決定時間帯で比較し,症例数が少ないため正確でないかもしれないが有意差はなかった。 当院は勤務時間内では手術室は取り決めで緊急手術用に1床空き部屋を作ることとしており,今回の検討では部屋がなく手術ができない状況は無かった。胎児機能不全を発症した場合は帝王切開の決定から胎児娩出までの時間は30分以内が望ましい2,3)とされている。今回の検討では時間外・休日決定群は帝王切開より児娩出までの時間が,勤務時間内決定群より約20分長かったが,今回の検討では児の予後には影響がみられなかった。しかし,この時間が児の予後に影響する可能性については容易に想像できる。夜間休日では30分ルールが遵守できないことが明らかとなった。当院は手術室スタッフが休日・時間外は自宅待機のため,休日などの超緊急帝王切開をしたくても困難な状況にある。休日・時間外勤務の手術室スタッフ確保が急務であると思われた。 本稿における利益相反はありません。参考文献1)  野中道子,周防加奈,門脇浩司 他:当院で行った超緊急帝王切開術の検討 鳥取医誌第42巻 第3・4号p.128-130,20142)  上野たまき,上野有生,金田大介 他:地方都市基幹病院における超緊急帝王切開の取り組みとその効果 日本周産期・新生児医学会雑誌 第50巻第3号 p.982-989,20143)  疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制について 平成24年3月30日医政指発0330第9号 厚生労働省医政局指導課長通知

元のページ  ../index.html#22

このブックを見る