南予医学雑誌 第18巻
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南予医誌 Vol.18 No. 1 2017-20-る腹部疼痛を自覚し前医を受診して切迫早産を診断され塩酸リトドリン開始したが腹痛改善せず,同日当院へ救急搬送された。【現 症】顔色蒼白。BP 120/74㎜Hg,脈拍130回/分。経腹エコーで徐脈認め,ドプラー法で児心拍60bpm。胎盤下に92×25㎜の低エコー域を認め,常位胎盤早期剥離と診断した。【経 過】17:00帝王切開決定し全身麻酔下で帝王切開行い,17:09 ASO/1の女児が出生した。児はoppyであり,立ち会っていた新生児科医師に渡し,児は手術室で心肺蘇生と気管内挿管を行われ,NICU入院した。羊水無色透明だが胎盤剥離後手拳大の血塊が2個排出され,常位胎盤早期剥離を診断した。術中出血量は1147gであった。高度貧血の治療とDIC治療のため輸血とガベキサートメシル酸塩投与した。その後の母体の経過は順調であった。 児は日齢5に脳出血を起こし,日齢9収束したが著名な脳萎縮と脳室拡大をきたし脳性麻痺となった。症 例227才女性。【妊娠分娩歴】1回経妊1回経産。前回帝王切開(胎児ジストレスのため)【既往歴】心房中隔欠損症手術,輸血歴あり。HBVキャリア。【現病歴】帰省分娩のため当院初診。前医より塩酸リトドリン1日3錠内服中であった。妊婦健診を行っていたが38週3日陣痛発来したため当科受診した。【現 症】受診時嘔吐,悪寒,戦慄,腹痛を訴えた。血圧120/70㎜Hg,脈拍100回/分。内診所見 子宮口2指,血性羊水流出認め,経腹超音波で胎児心拍低下を確認した。14:05手術決定し,全身麻酔下で緊急帝王切開行い,14:14 AS7/8の児が出生した。羊水は血性であり胎盤母体面には凝血塊を認めた。術中出血量442gであった。(図1)帝王切開決定から娩出までの時間

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