南予医学雑誌 第18巻
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矢野、他:7年間の当院で行われた超緊急帝王切開についての検討南予医誌 Vol.18 No. 1 2017-19-帝王切開は834例(29.1%),緊急帝王切開は431例(15.0%)超緊急帝王切開は12例(0.42%)であった。分娩数は徐々に減少しているが,帝王切開数は120例前後とあまり変化を認めない。そのことを反映して帝王切開率は徐々に上昇してきており,緊急帝王切開が過半数を占める。超緊急帝王切開は12例行われていた。この12例について詳細を(表2)にまとめた。 12例の超緊急帝王切開は8例(66.7%)が正期産で4例(33.3%)が早産であった。受診経路は母体搬送症例が6例(50%),当院で外来管理中に出血腹痛などを訴えて受診した院内救急例が4例(33.3%),院内発生が2例(16.7%)であった。帝王切開適応理由は12例中9例(75%)が常位胎盤早期剥離,残り3例(25%)は遷延する胎児徐脈であった。 帝王切開決定時間は平日8時台~17時台が7例(58.3%),平日18時台~7時台や休日が5例(41.7%)であった。 帝王切開決定から娩出までの時間は平均32.8分(9~61)で,平日時間内に決定した症例群では平均24.5分,平日時間外・休日は平均44.4分かかったがわずかに有意差はなかった。(p値 0.056)AS5分値7未満の新生児仮死症例群で平均35.8分,7点以上の症例群では平均28.6分であったが有意差はなかった。帝王切開から娩出までの時間が9分と最短であった2例は平日時間内であった。うち1例は9分で娩出できたが児が脳性麻痺となった。これは母体搬送症例であり当院到着までに低酸素状態が進行したと推測された。 最短であった2例について詳細を提示する。症 例130才女性 。【妊娠分娩歴】0回経妊0回経産。【既往歴】特記すべきことなし。【現病歴】前医にて妊娠を診断され,妊娠経過は問題なかった。35週0日より腹痛あり,家族にも受診を勧められていたが前駆陣痛と思い受診しなかった。35週3日に持続す(表2)超緊急帝王切開の12例の概要時間内8-17時 / 時間外18-7時・休日No.年齢入院理由帝王切開適応理由決定~娩出AS1AS5臍帯動脈血pH在胎週数出生体重救急搬送CS決定時刻出生後の児の管理輸血量RCC輸血量FFP出血量130胎児徐脈早剥、胎児徐脈0:09016.7935w3d2249母体搬送平日17時(内)脳出血、脳性麻痺、NICU入院管理8単位10単位1147237高度変動性一過性徐脈遷延徐脈0:16797.2840w6d2650母体搬送平日16時(内)正常発育、産科管理00387327大量性器出血早剥、胎児徐脈0:42787.2136w6d2353院内救急平日22時(外)呼吸障害でNICU入院管理、正常発育00675432持続する腹痛早剥、胎児徐脈0:49387.2736w0d2843母体搬送平日21時(外)新生児仮死でNICU入院、甲状腺機能低下フォロー001600533既往帝王切開後の陣痛発来、出血早剥、胎児徐脈1:0115測定不能38w4d2501母体搬送平日4時(外)新生児仮死でNICU入院4単位01156628切迫早産、陣痛発来早剥、胎児徐脈0:15136.9132w1d860母体搬送平日17時(内)高次施設へ搬送、Prader-Willi synd003588733誘発入院遷延性徐脈0:43267.2541w6d2621院内発生平日7時(外)重症新生児仮死、00375836早剥早剥0:30366.9337w4d2671母体搬送平日11時(内)新生児仮死でNICU入院001244925陣発早剥、吸引分娩2回不成功、遷延性徐脈0:36167.2839w2d2803院内発生平日17時(内)早産、新生児仮死でNICU入院0012091019入院時NSTでlatedecerelation胎児徐脈0:57146.8340w4d2961院内救急平日12時(内)MAS、新生児仮死でNICU入院006801127自宅で多量出血、救急車で来院緊急 早剥、大量性器出血、胎児徐脈0:27687.0237w4d2623院内救急休日14時(外)新生児仮死でNICU入院006751227陣発早剥、胎児心拍低下0:09786.9538w3d2900院内救急平日14時(内)産科管理、正常発育0044260.7652.323:0均平

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