南予医学雑誌 第18巻
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南予医誌 Vol.18 No. 1 2017-18-序言 分娩中,緊急帝王切開を行うことはよくあることであるが,胎児心拍異常を来し一刻も早く児の娩出が必要となる事もあり,腰椎麻酔の時間も惜しく,全身麻酔にて麻酔がかかるや否や児娩出を試みることがある。産科医はいつでもこの超緊急帝王切開を行える準備が必要と考えられ,30分ルールという用語までできている。 当院は愛媛県南予の宇和島市にあり,愛媛県南予(宇和島市,西予市,愛南町,大洲市,八幡浜市)から高知県境(梼原町,四万十市,四万十町)に居住する約28万人の医療圏における地域中核病院である。当科は妊娠31週以降の新生児への対応が可能な地域周産期母子センターとして機能している。常勤医は4名(産婦人科専門医4名)であり,夜間休日の産婦人科診療はオンコール産婦人科医師1人,手術などの緊急事態に備えた待機産婦人科医師1人の2人体制である。産科病棟スタッフは休日日勤帯は6人(内助産師は1~2人),準夜・深夜帯は3人(内助産師1人)で34床に対応している。手術室スタッフは夜間休日はオンコール体制で緊急手術を決定すると産婦人科医師より手術室看護師2人に連絡し病院に来ていただく。麻酔科医師も夜間休日はオンコール体制であり,産婦人科医師が連絡する。小児科医師は常勤6人であり夜間休日は当直体制で院内に常駐している。帝王切開は手術室で行っている。 ここでは帝王切開を予定帝王切開と緊急帝王切開に分け,全身麻酔による帝王切開にて生児を得られた症例を当院では超緊急帝王切開と定義した。 (検定にはF検定,スチューデントのt検定,マン・ホイットニーのU検定を用いた。)対象と結果 当院における2010~2016年までの分娩数および帝王切開件数についてまとめたものが(表1)である。2010年~2016年までの当院の分娩数は2868件ありその中で(表1)当院における2010~2016年までの分娩数および帝王切開件数年 2010 2011 20122013201420152016 計 分娩数 480 465 490 466 355 326 286 2868 帝王 切開数 126 127 132 110 118 118 103 834 帝王 切開率 26.2 27.3 26.9 23.6 33.2 36.1 36.0 29.1 超緊急 帝王切開 1 4 3 0 2 1 1 12 緊急 帝王切開 79 68 67 45 57 53 62 431 予定 帝王切開 46 55 62 65 59 64 40 391

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