南予医学雑誌 第18巻
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南予医誌 Vol.18 No. 1 2017-14-介入は,飲酒量低減を中心に飲酒行動の改善を認める者は約6割,介入の効果(飲酒量・多量飲酒回数の減少,救急受診と入院日数の減少)は4年に及ぶことが先行研究で実証されている。 多くのマンパワーと時間をかけねばならない依存症者の治療に比べ,また多額の社会的コストのかかるアルコール関連問題の改善に,この予防プログラムが優れているのは明らかだ。身体科医療のかかわりのもとで,地域保健と精神科医療が協働し,このプログラムが実施できることを願いたい。(図15)まとめ- 出会い・気づき,かかわり,つなぎ,見守る,そして地域づくりへ - 宇和島圏域の自殺死亡率の高さと現状について述べた。 H25年より,自殺のハイリスク者である自殺未遂者支援を,地域の3次救急の中心である市立宇和島病院で,保健所を中核とした自殺対策チームとして取り組むようになった。 そして,一次予防・発生予防の取り組みのひとつとして,アルコール健康障害対策と関連問題の必要性についてふれた。 自殺対策のなかで,自殺のハイリスク者である自殺未遂者の支援が重要となる。当地域においては医療機関同士や医療と保健の連携が整っている強みがある。 自殺未遂者支援の拠点に市立宇和島病院があり,地域連携室と救急部門の院内連携がとられ,さらに地域連携室をハブに宇和島保健所を核とした地域自殺対策のネットワークが機能し始めた。 保健所を中心とした地域支援ネットワークの一員として,精神科医・スタッフや地域保健師が,地域連携室のコーディネイトで,未遂者の治療早期に出会い・かかわることができ,信頼関係,つながりを築くことができた。精神科医療・保健スタッフの救急治療現場への臨場ができることで,未遂者とその家族との信頼関係ができ,困難(図15)地域連携と自殺・アルコール関連問題

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