南予医学雑誌 第18巻
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渡部、他:宇和島の自殺対策南予医誌 Vol.18 No. 1 2017-13-だろうか。そして,肝専門の内科医に「肝硬変で死ぬのは40歳前後に多い」と聞き,精神科に来る前に死んでしまうアルコール依存症者の一群がここにあることを知り,精神科病院で待ち受けることの問題を感ずるきっかけになった。4) 一般医療機関でのアルコール関連問題・依存症者(中核群)対応 アルコール問題に対しては,「SBIRT(Screening, Brief Intervention, Referral to Treatment 飲酒スクリーニング,短時間介入,専門治療への紹介)」7)(猪野亜朗など)が有効である。多量飲酒者への簡易介入方法を一般医・救急医・関連スタッフのために開発されたもので,10ページのやさしいパンフレット(解説書)通りに進めていく。内容は,CAGE,AUDITといわれる3~4項目のスクリーニング(Screening)により3群に分け,対応・簡易介入(Brief Intervention)を行う。依存症に至っていない者(危険・有害飲酒者)には節酒指導(HAPPY プログラムとの連携),依存症者は専門医療につなぐ(Referral to Treatment)。これらの具体的対応方法が適切・簡易に書かれている。5)危険・有害飲酒者への対応(一次予防) 日本では危険な飲酒や有害な飲酒をする多量飲酒者は980万人いると推測されている。「危険な飲酒や有害な飲酒に対するスクリーニングおよびブリーフインターベンション」はWHOが推奨し,飲酒にかかわる生活習慣病予防として特定保健指導においても指導項目になっている。 我が国で実施されている「HAPPY プログラム」の研修は,一昨年90人余りが参加し南予で実施した。完成されたテキスト・スライドに基づいて,1時間弱の教室を3ヶ月の間に3回実施する。3回のこの(図14)アルコール入院データ(市立宇和島病院)

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