南予医学雑誌 第18巻
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南予医誌 Vol.18 No. 1 2017-12- 医療・保健の対策については,依存症になれば,断酒・専門医療へ,有害・危険な飲酒は減酒のプログラムへ導入することになる。2) 一般医療機関におけるアルコール関連問題と自殺 アルコール依存症と自殺の関係は,簡易版「アルコール白書」6)(日本アルコール関連問題学会ほか,2011)によると,「1. アルコール使用障害(依存症と乱用の総称)はうつ病と並ぶ自殺の重要なリスクであり,自殺のリスクを60~120倍に高める。2.多くの国で国内アルコールの消費量と男性の自殺死亡率が正の相関を示す。3.国内の調査では多量飲酒が男性の自殺リスクを高めることが示されている。4.国内の調査では自殺死亡者の21%に(死亡する1年前に)アルコール関連問題が認められ,その80%はアルコール使用障害に該当していたが,飲酒の問題とは認識されていない。5.これらの調査結果は自殺予防にアルコール問題への対策が不可欠であることを示している。」と述べられている。3) 市立宇和島病院 入院データより(図14) 電子カルテの入院データから,「アルコール性」の冠が付いている疾患名をH24年から5年間拾ってもらった。「1人1病名」のデータである。B群はアルコール依存症(断酒の必要),A群はそれ以外の診断グループである。 このA群の中には,減酒の必要な「有害な飲酒者」のみならず,断酒の必要なアルコール依存症の中核群(軽症アルコール依存症,アルコール使用障害(DSM-5))が含まれている。「次飲んだら死ぬよ」と内科医に言われて,「わかっているけど,やめられない」アルコール性肝硬変の人は,依存症があるのでやめられないのではない(図13)アルコール関連問題の実態

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