南予医学雑誌 第17巻
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桐澤、他:高磁場MRI画像診断南予医誌 Vol.17 No. 1 2016-69-(写真2)初診時右側顎関節MRI画像左:閉口時,右:開口時右側顎関節関節円板の前方転位(矢印)を認める。られたために,側頭筋および咬筋部のMRIを撮像した。側頭筋および咬筋部の撮像に使用したMRI装置は,Magnetom Skyra(Siemens社,ドイツ)で,超電導磁石型装置で静磁場強度は3.0Tであった。撮像方法はgradient echo法(以下GRE法)とした。撮像条件はT1強調画像(以下T1WI)水平断(写真3A),TR 480msec,TE 12msec,加算回数3回,ip angle25°,T1WI冠状断(写真3B),TR 480msec,TE 12msec,加算回数2回,ip angle25°およびT2*強調画像(以下T2*WI)水平断(写真4A)冠状断(写真4B)ともに,TR 651msec,TE 13msec,加算回数1回,ip angle30°とした。いずれの撮像条件もスライス厚3㎜とした。T1WI,T2*WIにて両側咬筋前縁部および咬筋内に腱膜様の低信号領域が認められた。MRI撮像の結果より咀嚼筋腱・腱膜過形成症と診断し,2014年7月全身麻酔下に口腔内より両側咬筋腱膜切除術および両側筋突起切離術を施行した。手術は,右側下顎枝前縁の骨膜上切開を行い下顎枝前縁から下顎角にかけて骨膜上で剥離を行い,咬筋を明視野においた。咬筋浅層および下顎角部で過形成していた咬筋腱膜を切除し,下顎角部咬筋粗面で骨膜から咬筋を切離した。次に下顎枝前縁で骨膜下切開を行い,筋突起を明示した後に筋突起切離術を施行した。左側も同様に咬筋腱膜切除術および筋突起切離術を施行した。両側咬筋腱切除術および筋突起切離術後に万能開口器を使用しての術中最大開口量は45㎜であった。術後3日目より万能開口器を使用し開口訓練を開始した。開口訓練開始時の自力最大開口量25㎜,強制開口量30㎜であった。術後3カ月経過後,自力最大開口量43㎜であり右側顎関節クリック音は消失し術後経過は良好である。

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