南予医学雑誌 第17巻
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南予医誌 Vol.17 No. 1 2016-62-(図5)仮性動脈瘤周囲の模式図を示す。赤矢印は血流を示している。腹腔動 脈は閉塞 しており,上腸間膜動脈から側副血行路を介し脾動脈,総肝動脈へと血液は流れていた。胃十二指腸動脈断端の仮性動脈瘤への血流遮断を目的に脾動脈および腹腔動脈をクリッピングした。た。大血管よりの出血はコントロールできると判断したため,上中腹部正中切開で再開腹した。しかし腹腔内は癒着強固であり,膿瘍腔は開放できたが,仮性動脈瘤には到達できなかった。そのため再度後腹膜経路からアプローチした。止血のためには総肝動脈と脾動脈を遮断する必要があると判断し,腹腔動脈と脾動脈根部をクリッピングした。仮性動脈瘤からの出血は止血されたものと考え,膿瘍腔へドレーンを挿入し閉創した(図5)。 再手術後は経過良好であった。心配されていた肝虚血も軽度であった。再手術後2日目より経腸栄養を再開した。再手術後,造影CT検査を施行し,肝への血流は右横隔膜下動脈より流入していることを確認した(図6)。脾臓への血流障害も認めなかった。経口摂取を再開し,食事量安定したため,再手術後58日目に退院となった。考 察 PDは手術手技や周術期管理の向上により手術関連死亡は5%未満となってきたが,術後合併症の頻度は 30%から50%といまだ高い1-3) 。PD後の腹腔内出血の発生率は2%から8%とされるが,膵液瘻や腹腔内膿瘍を合併した場合その頻度は6%から26%に増加する1,2) 。腹腔内出血症例の周術期死亡率は11%から54%に及び2,3) ,特に緊急を要する合併症である。腹腔内出血

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