南予医学雑誌 第17巻
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南予医誌 Vol.17 No. 1 2016-58-  膵頭十二指腸切除術後に発症した腹腔動脈閉塞を伴う仮性動脈瘤破裂に対し後腹膜経路手術が有用であった1例   症例報告受稿日 平成28年10月3日受理日 平成28年10月19日連絡先 〒798-8510 愛媛県宇和島市御殿町1-1 市立宇和島病院 外科 向井 直樹要   旨 症例は63歳,男性。十二指腸癌に対し亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した。当初経過良好であったが,術後7日目に膵液漏と診断し保存的加療を行った。術後25日目にショック状態となり,造影CTにて胃十二指腸動脈切離部断端に径25㎜の仮性動脈瘤あり,出血源と考えられた。また腹腔動脈幹の閉塞あり,総肝動脈への血流は上腸間膜動脈から脾動脈を介した側副血行路経由で維持されていた。血管内治療では止血困難であったため。外科的処置を行う方針とした。右半側臥位にて傍腹直筋切開を行い,後腹膜経路にて大動脈にアプローチした。救命を優先し,腹腔動脈幹と脾動脈を結紮し,仮性動脈瘤への血流を遮断した。術後経過は概ね良好であり,心配していた肝虚血・脾虚血も軽度であった。術後CT検査にて肝への血流は右横隔膜下動脈より供給されていることを確認した。腹腔内の高度な癒着が予想される症例に対する大動脈周囲血管へのアプローチには,後腹膜経路が有用である。  (南予医誌 2016;17:58-66.)Key Words:膵頭十二指腸切除術,仮性動脈瘤,腹腔動脈閉塞,後腹膜経路 向 井 直 樹1),渡 邊 常 太1),今 井 良 典1), 西   悠 介1),友 藤 克 博1),竹 林 孝 晃1), 石 田 直 樹2),佐 藤   創1),根 津 賢 司1), 岡 田 憲 三1),坂 尾 寿 彦2),梶 原 伸 介1) 1)市立宇和島病院 外科 2)市立宇和島病院 心臓血管外科

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