南予医学雑誌 第17巻
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南予医誌 Vol.17 No. 1 2016-48-(図1) 胸腹部単純CT検査(冠状断)SMAと大動脈に十二指腸水平脚が圧排され,くちばし状を呈している(beak sign)。候群(SMA症候群)と診断した。腸管内圧の減圧を目的として胃管を留置したところ,胃内容物がおよそ500㎖吸引され嘔気は改善した。第3病日に,胸腹部単純CT検査および上部消化管内視鏡検査を実施した。胸腹部単純CT検査では,胃から十二指腸水平脚にかけての拡張や液体貯留は軽減していたが,上部消化管内視鏡検査では,十二指腸水平脚の圧迫が軽度残存していた。症状が軽快していたため,第4病日に胃管を抜去し食事を再開したが,第5病日に再度腹痛が出現したため絶食とした。第6病日に施行した腹部造影CT検査では,十二指腸水平脚および左腎静脈がSMAとAortaに挟まれ狭小化しており,左腎静脈が軽度拡張していた(図2)。胃や十二指腸の拡張や液体貯留は認められないため,明らかな通過障害はないと判断した。第7病日に食事を再開したところ,第8病日には軟便の排便と排ガスを認めた。腹痛や嘔吐などの症状の再燃を認めなかったため,生活指導を行い第9病日に退院した。考察 本症例のように,SMA症候群は標準体型の若年男性にも発症例しうる。また,診断には特徴的な画像所見からCT検査が有用である。 SMA症候群の多くは痩せ型の若年女性に発症し,摂食障害による体重減少や脊柱

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