南予医学雑誌 第17巻
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南予医誌 Vol.17 No. 1 2016-2- 開設108年の歴史を誇る市立宇和島病院では,地域の少子高齢化が進み,医療行政の動きもあって,地域の小児医療を如何に進めるべきかの問題に直面している。宇和島市の人口の推移を見ると(図1),確実に減少傾向にあり,1990年には10万人を超えていたが,現在では8万人を下回っている。しかも少子高齢化が進行し,我が国の中でも最先端を走っていて,65歳以上の高齢者は既に35%を超えた。 この人口減少の流れの中で地域に起こってきたこと(図2)とは,市場経済優先の世の中で,働く世代は都会へ出ていき田舎には残らない。残された老人が独居になったり,老老介護の状態になったりしてしまう。医学が進歩し医療技術が高度化したため,平均寿命が大幅に延長した。そんな社会状況で2004年臨床研修制度が始まり,ほぼ同時に大学の独立法人化が開始された。その結果医師の偏在が起こり,都市への集中や診療科の集中が起こると,地域の医師が不足する。この動きによって医局の維持が困難になり,維持するために有能な地域病院のスタッフを大学へ引き上げ,新(図1)宇和島市の人口の年次推移(図2)地域の中で起こってきたこと

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