南予医学雑誌 第17巻
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南予医誌 Vol.17 No. 1 2016-34-やすいという理由により,司法や警察からの需要も多くなっている。 また医療事故調査制度が平成27年10月から施行され,医療現場において予期せぬ死亡が発生した場合の死因究明に対するAiの必要性は今後さらに高まるものと考えられる。 そこで当院にて行われたAi-CTについて検討するとともに,Aiが有用であると考えられた2症例を供覧する。目的 市立宇和島病院では救急外来患者・入院患者・警察からの依頼を問わず死因不明遺体の死因究明のため数多くのAi-CTを行っている。そこで病院で行われたAi-CTによって明らかとなった死因や死因判明率を調査し,Aiの有用性や必要性,あるいは問題点について検討した。対象および方法調査期間:2011年11月から2016年3月まで対 象:市立宇和島病院で行われた214件のAi-CT症例依頼種類別・年齢別・死因別の数を調べ,死因判明率の調査を行った。結果 2011年11月から2016年3月までのAi-CTは214件であった。年別のAiは(図1-A)で示すように,年間平均約50件が行われ,近年やや減少傾向にある。 Ai-CTは大きく3つに分類され,1つ目は院外から心肺停止状態で運ばれてくるCPAOA 165件,2つ目は自施設入院患者の原因不明の死亡8件,3つ目は警察や海上保安庁からの依頼で行われるもの41件であった(図1-B)。最近は,死因関連2法案の関係からか警察等からの依頼が増えている。 死因が明らかとなったものは96件であり,45%の究明率となっている(図1-C)。 死因別のグラフ(図2-A)では,内因死では大動脈破裂や解離が多く,外因死では溺水や誤嚥窒息が多くなっている。溺水に関しては統計上,浴槽と海や河川での症例が合計されているため特に多くなっている。 年齢別Ai数を(図2-B)に示す。80代が最も多く次に70才代,60才代と続く。90才代はもともとの数が少ないため,Aiの数も少ないものと思われる。(図1)

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