南予医学雑誌 第17巻
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南予医誌 Vol.17 No. 1 2016-33- 死因究明に果たすAutopsy imagingの役割 平 野   尚, 山 下 尚 志, 情 家 俊 和,  兵 頭 忠 徳 市立宇和島病院 放射線科   原   著要   旨 近年,来院時心肺停止(Cardiopulmonary arrest on arrival, CPAOA)患者や院内での予期せぬ死亡患者,あるいは警察や海上保安庁から依頼のあった遺体などの死因究明のために死亡時画像診断(autopsy imaging , Ai)が広く施行されている。当院にて2011年11月より2016年3月の間に施行された214件のAi-CTを集計し,Aiを取り巻く現状,課題,問題点等について検討した。  (南予医誌 2016;17:33-38.)Key Words:Autopsy imaging・CT・死因究明受稿日 平成28年9月12日受理日 平成28年11月1日連絡先 〒798-8510 愛媛県宇和島市御殿町1-1 市立宇和島病院 放射線科 平野  尚はじめに 死亡時画像診断(autopsy imaging , Ai)とは,CTやMRI等の画像診断装置を用いて遺体を検査することで,死因究明等を行う際の重要な手段となっている。 Aiを取り巻く背景として,現在日本で年間約120万人が亡くなっており1),そのうち7人に1人が死因不明と診断され,働き盛りの突然死やお年寄りの孤独死などが問題となっている。そのため増える不明死の死因究明に対する社会的要求が高まり,時限立法ではあるが死因関連2法案が成立し,警察署長の命令で解剖やAiが施行できることとなった。さらにAiは裁判員制度の導入などで,誰に対しても客観的でわかり

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